昨日の果ての果て

 限りなく透明に近いマリッジブルー。
 明日の朝が早いとわかっていても、なかなか眠れないのだから仕方がない。変質者に襲われるのも、藪蚊に刺されるのもNGだとわかっているのに、ふらりとふらりと歩いていたら、薄暗い蛍光灯の下、砂場に作られた山のてっぺんに刺さった単4電池。
 不意の既視感が、幼かった頃の記憶を思い出す。
 おもちゃの茶碗やグラスに砂を注いで、ご飯や水に見立てて、当時仲が良かった男の子と公園でのオママゴト。
 半渇きの砂が微妙に黴臭かったのに、男の子は平気で口に入たりしていたから、あとで彼のお母さんがよく怒っていた。
 彼は今、なにをしているだろう?
 あの頃、オママゴト結婚式に出席してくれた友だちは、誰も明日招待していない。

N-1お試しオンライン大会」未参加作

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