結婚当夜

 ほら、もう昨日になった。
 手に馴染んだのか、それとも手が馴染んだのか。ともかく、愛用のマグカップを最後にしまって荷造り終わり。
 短いような長いような。楽しかったような辛かったような。
 この部屋ともお別れ。
 自分のために朝起きて、自分のために食事作って、自分のために部屋を掃除することはもう無い。たぶん。
 ちょっぴり感慨深いけれど、きっと今は想い出となる。
 昨日とは名字が違うわたしが始まったのだから。

金紺式 寄稿作

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