dogs

 列なって彼らは沙漠を進む。
 ラクダとロバと犬と人。
 列なって進むこと自体が目的となって久しい彼らは、粛々と、しかし、確実に沙漠を進む。
 水の蓄えに限りが見えれば水の匂いのする方角を目指し、腹が空けば緑の匂いを追う。地図は失われて久しく、星空はすでに忘れられた。
 列なる彼らは、彼らの生命力だけを頼りに沙漠を進む。列なることや沙漠を進むことは、生きることと同義であり、彼らこそがこの星唯一の動物であるなどとは気づくはずもない。
 ただ時々、思い出したかのように犬は吠えるが、キャラバンは進む。

第0回「超短編のパトロン」サンプル作品

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