降るまで

 星図盤持って男の子と二人っきりなのに、彼女はなぜか醒めてる自分を自覚している。こんな空が近くて、東京じゃ比べものにならないぐらいキラキラしてるのに。
 隣の男の子が嫌いなわけじゃない。8月なのに半袖じゃ肌寒い北海道まで、わざわざ一緒に来たんだからそれなりの打算だってある。けど、そういう問題じゃなく・・・
「ホントは星が流れてるんじゃなくて、地球が流れてチリの塊に――」
 優しいレクチャなのだろうけど、彼女がわかったのは、21時だから、あと30分も過ぎればなんとか流星群が見れるということ。予想では、雨みたいにたくさん。あとはわかったフリで頷くだけ。
 名前も知らない鳥の鳴き声と、永遠に続きそうな天文トーク。ロマンチックなハズなのに乙女心は機能しない。ナゼ?
 早く30分が過ぎることを、彼女は流れるはずの星に祈った。

超短編 500文字の心臓
第47回競作「降るまで」参加作を加筆修正

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