月面炎上

 頭上に昇る赤い星が青かった頃、燃えているからこの星は輝くと、僕らのご先祖様は思っただろうか?
 白かったり黄色かったり赤かったり。時々に形すら変えるこの星を、遥か彼方で輝く変光星のように熱く燃える星だと信じただろうか?
 今、誰も住めなくなったあの赤い星から、この星はどのように見えるのだろう? 反射能の大きい白い大地の上で、本当に燃え盛るこの炎はどのように輝いているのだろう?
「休憩終わり! 次こそ消すぞ!」
 目の前の大火事に意識を戻す。さぁ! 仕事の時間だ。

超短編 500文字の心臓
第50回競作「月面炎上」参加作を修正

(ケータイ)トップ > 空虹桜超短編集 エディアカラ > 月面炎上
(パソコン)トップ > 空虹桜短編集 バージェス頁岩 > 月面炎上
空虹桜HP アノマロカリスBANNER
(C) Copyright SORANIJI Sakura,2005
e-mail bacteria@gennari.net