蚯蚓腫れ

 女の背中に手を回すと違和感。嫌な予感を払拭するため、指先に集中する。
「気になる?」
 女の濡れた紅い唇が蠢く。
 頷く間に上下が入れ替わり、女に咥え獲らえられたまま、背面座位。
『屍』
 瞬間、女の中で果てた。
 出した先から体温が失われていく。
 顔だけこちらを向けると、微かに眉根を寄せた女は、舌で耳朶を舐る。
「あたり」
 背中の文字は捻れ、女の唾液が耳朶にまとわりつく。
『厄』
 女の濡れた紅い唇が歪み、鈍く光る舌。

第6回ビーケーワン怪談大賞 投稿作を加筆修正

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