天空サーカス

 新月で真っ暗だった夜空に現れた光は、アクロバットに分裂を繰り返し、重力なんて無いみたいな幾何学模様を奏でる。
 そうしてプラネタリウムに結ばれる線分は、実存する宇宙船の輪郭を浮かび上がらせる。
 撃ち上げられる火線。宇宙船たちが降らせる宇宙線。弾頭をビームが捕まえたら、歓喜の華が宙に咲く。
 華麗な殺戮の中、逃げることすらできず見上げるだけな僕は、一方的な現実の観客より、道化師でも当事者でありたいと考える。
 だから、宇宙船たちが描くマスゲームなんてナイフ投げの的みたいなもの。頭の中でドラムロールが轟く。クレッシェンドして、クレッシェンドして、僕は、担いでいたスティンガーを、解き放つ!

超短編 500文字の心臓
第103回競作「天空サーカス」参加作

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