THREE CHEERS FOR OUR SIDE〜海へ行くつもりじゃなかった〜

 従妹の来る日曜日。彼女は水平線とか地平線とか、そゆシンプルな風景を見たことがないという。
 毛糸の季節は風が冷たくて、ピクニックには早すぎるけど、今日はそう、陽が沈む方角へ!
 ミルクで濁ったコーヒーを飲みながら、恋してるとか好きだとか、彼女は友達の華麗な噂を嬉しそうに話す。何度も何度も。
 地球のこととか平和のこととか、大きな物語が社会に溢れてて、たぶんお袋は僕らが車を拝借してることになんか気づかない。
 青い海。白い雲。赤い旗。遊泳禁止。打ち寄せる世界までが僕の赤い靴に物語る。
 ありきたりの幸福やとびきりの悲哀を放置して、パステルカラーの奇妙な遮断機が下りる。素敵な電車のパレードが行く。
 どんな文脈からも放たれ、あらゆる物語を包含し、やがて鐘が鳴る。


「ぐるぐる回る超短編」参加作
respect for Flipper's Guitar
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