第118回 ザ・コブラツイスターズ

U・B  >さぁて、さてさて紳士淑女の皆々様。お待たせいたしました。お待ちかね、ザ・コブラツイス
       ターズ※1)の1stアルバム「ザ・コブラツイスターズ」の話をこれからつらつらとはじ
       めたい所存でございます。つい先々月までは、この8月に発売された「ザ・コブラツイスターズIII」の
       話を先にやって、それから順に過去へと遡ろうかと考えておりましたが、いかんせん、この「ザ・コブ
       ラツイスターズIII」を聴いてしまっては、それが無理難題であること一目瞭然。
空虹桜>いつなったらしゃべれるの?アタシ。
U・B  >どうやら一つのうねりを聞き手であるこちらは感じてしまわずにはいられないわけでございまし
       て、ここは一つ順を追ってみて、そのうねりを解説しつつ、皆々様にも感じて頂きたいと思う
       のであります。そんなわけで1曲目、ライヴじゃ外せない「東西南北 日本の空
空虹桜>だからアタシはいつ喋ればいいのよ。
U・B  >あとになって考えれば、このアルバムの1曲目にこの曲が来ていることがかなりの衝撃を持
       って迎えられるわけですが、一般にコブツイ(※2)の代名詞として使われる「和風」テイストを十二
       分に感じさせるメロディと、強烈でありながらどこかホッとさせる歌詞の絶妙なハーモ
       ニィが気持ちいい1曲。
空虹桜>アンタさぁ、スキップカウズの時より喋ってるんじゃない?(※3
U・B  >うるさい。余計なチャチャ(※4)入れるな。曲の話をしろ。曲の。
空虹桜>その隙にMCの座をいただき!っと。ってことで、2曲目がHEY!HEY!HEY!(※5)に出演したときに唄
       ったから案外知名度の高い名曲「サクラサク
U・B  >一度聴いたら絶対にサビのリピートが頭から離れない1曲。しかも、I・IIと顕著
       なのだけれど、初期コブツイの典型である、ラヴソングのハズなのにまったくそれを感じさ
       せない柔らかな感触
空虹桜>カラオケでもすぐにサビだけはみんなで唄えるイイ曲よね。ホント。で、3曲目であり
       1stシングルである「運命船サラバ号出発
U・B  >ここまでの2曲が「和風」でくくれたのに対して、設定だけなら十全たるSFな気がする
       ど、実際はどこか古くさく感じるのに、しっかりロックしていてキャッチな歌詞
空虹桜>この曲もこそこそラヴソングだよね。実は。しかし、よくこの曲でアンタこのバンド追
       っかける気になったよね。
U・B  >なにを宣いやがる。無茶苦茶心の底にずっしり来る曲じゃないか。要するにアレだ、今ま
       で散々「情けない男歌」って話をしてきたけど、コブツイは逆で「潔い男歌」なんだよ。
空虹桜>ってことは、話の裏テーマとしては、どうして「情けない男歌」好きが「潔い男歌」を受け入れ
       られるのか?ってとこになるの?
U・B  >うむ。どうして世間一般にコブツイもスキカウも「応援歌」(※6)として紹介されるタイプにもかか
       わらず、反対的な立場にいるのかってとこに関わるし、俺はどちらも応援歌だなんていっぺんも感じ
       たことがない。ってのにも関わってくるな。
空虹桜>ふぅん。じゃあ4曲目「君の目に」の扱いはどうなるの?これどっちかっていうとストレートなラヴ
       ソングに聞こえるし。
U・B  >別にどうってこと無い。そもそもこの曲ラヴソングに聞こえるか?逆で、こういう曲があ
       るから「応援歌」として括られやすい典型みたいな曲。つまり、基本的なところでコブツイの
       楽曲にはなにひとつとしてマイナス思考が存在しないのだ。
空虹桜>ほうほう。そう言うのってアタシみたいなひねくれ者にはウザったいだけに感じちゃうも
       んだけれど、それをあまりに感じさせないのはやっぱり三線とかによる和風テイストの賜
U・B  >むしろ、バンドメンバそれぞれの気質かと。バラードであってもブルースであっても暗さが存
       在しない。曲にある湿り気はたとえ涙であってもジメジメしていない
空虹桜>その真骨頂みたいなのがアーモンドチョコレートかなんかのCMソングだった5曲目「夢の旅
       」って感じ
U・B  >誰が聴いてもバリバリの応援歌なのに、何故だかとても泣ける不思議な名曲。励ま
       されていると言うよりも、むしろ自分を肯定されているというか、自分の立ち位置がよ
       りはっきりとしてくる。
空虹桜>たしか、NACS(※7)かどっかで使ってたみたいだけど、クライマックスに持ってきたく
       なる曲だよね。芝居の。
U・B  >まぁ、俺ならもっといい場面で使ってみせるだろうけどな(※8)。
空虹桜>寝言は寝てから言いなさいってことで6曲目「光と瞬間のブルース
U・B  >しっかりとした曲。でも、その割りに軽く聞き流せてしまう。つまり、ここにコブツイとい
       うバンドの本質があるのだけれど、共感するというよりむしろ、曲によって強弱の差はあれど
       れを抱く。自分に共感性が無いから聞き流しているように感じるのだけれど、どこかに憧
       れを抱くからなにかがしっかりと聴く者に残る
空虹桜>つまり、この曲はアルバムの中でもっとも共感性から遠くて簡単に聞き流せるってことね。(※9


※1 ザ・コブラツイスターズ:川畑アキラ(Vo.三線)、相馬圭二(G)、棗田泰之(B)、加藤一郎(D)で構成される、4人組ロックバンド。
※2 「ザ・コブラツイスターズ」略して「コブツイ」ちなみに、このアルバムに収められてる「サラバ号」はアルバムミックスです。
※3 スキップカウズ:とりあえず、U・Bが一番好きなバンド。詳しくはここ
※4 おお!このネタ久々だ。もちろん赤ずきんじゃないゾ!もう、このネタわかる人は少ないんじゃないか?未だに「りぼん」で連載してるのか?
※5 ライト兄弟(蹴)がMCを務める音楽ヴァラエティ。トークに強いバンドはここに出るべきだと常々は思っている。そんなわけで、出でよ!イマヤス!!
※6 音楽雑誌のアルバムレヴュでよく「応援歌」的に紹介されている。そこに書かれている文書自体はなかなか正鵠を射ているのだけれど、スキカウは同情的な応援歌として、コブツイは励まし的な応援歌として扱われているわけで、でも、それを同一に「応援歌」で括る気にはならないし、どうして「応援歌」に感じてしまうのか?ってとこに問題があるのだけれどそれは追々。
※7 北海道ローカルで人気の演劇集団。空虹曰く「この程度でいいんだよねぇ。北海道って。高校演劇のレヴェル高いわりにはさ」
※8 これはファンであることに対するプライド。ミキサとしての意地。そしてなにより、自分の音楽センスへの絶大なる信頼。
※9 空虹桜21行。U・B36行で、久々にアルバム紹介らしく喋りすぎでの負け(笑)予定外に次回へ続きます。まぁ、好きなバンドについて好きなだけ喋るってのは本望なんで良いのですけど。


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