U・B >半年ぐらい引っ張ってきた、FLYING KIDSの解散記念ベスト「BEST OF FLYING KIDS」を語る
会も最後(※1)ということで、7曲目「君にシャラララ」
空虹桜>タイトルがアレレ?だけど、言いたいことはよくわかるというか、サビだねぇ〜この曲。
U・B >今だったら、これぐらいのリズムで唄っててもラップ言い張るダメバンド多かったりするけど、
キモは仰るとおり言葉だけじゃ伝えきれないから唄うってとこでしょう。だからシャラ
ララなんだろうし。
空虹桜>唄うってことは必然的に言葉もついて回るんだけど、でも、言葉だけと唄うことじゃ違うんだ
よね。どこがどう違うかはよくわかんないけど。やっぱ身体に直結した表現技法と身体か
ら切り離されたところにある表現技法との違いかなぁ?
U・B >ああ、その手の芸術論って突き詰めると全部イタい話になるから止めましょう止めましょう。
空虹桜>たしかにやってない人間にはイタいカモ。じゃ次8曲目「僕であるために」
U・B >タイトル見た瞬間みんな尾崎豊だと思う(※2)んで唄いにくいったらありゃしない超名曲。
空虹桜>ああ、たしかに思う思う。
U・B >あんな、勝ち続けないと自分でいられないような貧弱なアイデンティティと
一緒にされると非常にムカつくんですよ。ええ。
空虹桜>ファン全員敵に回したわね。今。しかも、第三者だって勝ち続けなきゃいけないのが貧
弱だって結びつかないでしょ?きっと。
U・B >そういうヤツらはとりあえずスキカウ聴けや!!(※3)
空虹桜>五月蠅い。
U・B >スンマソン。で、こっちがアイデンティファイしてるのは、他の「なにか」ではなく自分が自分である
という事実に対してで、ここらは「我思うゆえに我あり」を曲名にしたこともある浜ちゃん(※4)らしい
んだけど、尾崎の場合は「反逆者」であることにアイデンティファイしてるわけじゃん。結果的に。で
も、それは他者から支持された時点で「反逆者」じゃ無くなっちまうのな。
空虹桜>ヒップホップが俗化するのと同じよなもんだよね。ロックがポップとごっちゃになるよな。
U・B >うみゅ。そうなると素直になれる時を すばやくつかまえたら 飾らぬ言葉だ
け 君に贈る方が全然強いじゃんと。(※5)
空虹桜>そういう言い回しされると、単に尾崎が古いだけって気がするんだけど、どっちが趣味
に合う?って訊かれたらフライングキッズ取るよねぇ。やっぱ。
U・B >そんなところで鳴り響くのが無闇にエロい「Christmas Lovers」
空虹桜>クリスマスでハッピィな曲とそうでないのがあって、この曲はハッピィじゃないのになぜか明
るい。
U・B >愛してますから。(※6)
空虹桜>キモッ。
U・B >言うな。自分でも若干自覚あるから。いや、そゆ問題じゃなく、なんだろ?俺がずっと「情けない男
歌」(※7)の話をしていて、テーマというかに流れているのは、どれもそこだけ切り出すとスト
ーカライクなわけだ。
空虹桜>ここで言うとでも寒くなんかないんだ 君といればあたりだ。(※8)
U・B >そう。ストーカとの決定的な差は君「が」いればじゃなくて、君「と」いればなとこだと
思うのな。パラノイア的に「君」や「僕」に執着するんじゃなく、なんだっけ?「セカイ系」よろしく「君と
僕」でありたいのだよ。「情けない男歌」わ。
空虹桜>一瞬メルヘンチックな気がするけど、ぶっちゃけ汚いよね。ん?違うな。醜いよね。
U・B >だからそゆこと言うなや。10曲目「風の吹き抜ける場所」なんて聴いてみ。どこが醜いよ。
空虹桜>うんとね、君の体チェリーパイそして 僕の心ファンキービートとか。(※9)
U・B >チェリーパイですか?とくに。
空虹桜>うん。
U・B >それは時代が時代ですから(※10)・・・たださ、これは結構青春よりな曲だからチェリーパイなわ
けですよ!
空虹桜>・・・ああ、なるほど。チェリーのパイって言うより、チェリーとパイなんだ。
U・B >さりげなく下ネタな理解ですね・・・否定しませんけど。でいよいよフライングキッズの肝である
「真夜中の革命」
空虹桜>スゴい自己言及的超短編な感じがする。
U・B >たぶんこの曲がベストアルバムの事実上ラストに置かれてるのは、フライングキッズにおいてフロントマン
である浜崎貴司という人間がどういう意図でもって創作をしていたかがここに集
約されてるからだと思うんだ。
空虹桜>エロのベースにあるパッションとか、素直で直線的な青さとか、高まりすぎてプラトニックになったりとか?
U・B >そう。だから、「情けない男歌」と括ってスキカウ、チャミグリ!、フライングキッズと紹介してきた(※11)
わけだけど、どれにも共通してるのは素直さの強さで、なんというか、自分がなんらかの欠点を持って
いるから、虚栄心なんてスグに見破られるし、素直でいないと勝てるはずもないってい
う・・・
空虹桜>おお。少年よ、悩め悩め。そこを言葉に出来るようになれば、それなりにライタでやってけ
るぞ。きっと。
U・B >素人のお前に言われたくねぇーよ。
空虹桜>実力的にはなんとかセミプロ名乗れるぐらいになったかなぁと思うけど、まぁ駆け出しって
ことで誤魔化そうかしら。
U・B >言ってろ。でだ、この「真夜中の革命」を受けて流れてくるのがラスト「アゲハ〜これからの君
と僕のうた〜」
空虹桜>蝶って基本的には輪廻の象徴なわけじゃん。で、内容的にもそこを踏まえてる。
U・B >毎日いろんなことを繰り返してくけど、巡っていくから、前しか見ぬ馬鹿であれ。
空虹桜>で、浜崎本人は疾走する情熱ごまかさず 本当の気持ち逆らわず。(※12)
U・B >そこらへんはコブツイっぽくもあるわけじゃん(※13)。だからホント、今回こうやってクロスフェーダでもっ
かい真剣にフライングキッズ聞き直してて、俺の音楽的嗜好のベースはフライング
キッズなんだなぁと思った。
空虹桜>つまり、「情けない男歌」ってよりは「馬鹿正直歌」が好きと。
U・B >だからってただ「ヤリたい」「挿れたい」「出したい」じゃダメなわけだ。それをストレートに言え
ちゃうと情けなくないの。だって、素直なステップでは「話したい」とか「逢いたい」とかにはじまっ
て、「触れたい」とか「キスしたい」とかに至ってくわけじゃん。中学生の馬鹿正直さじゃなくて、大人の
馬鹿正直さが好きなんだ。きっと。自分がいて相手がいて、いろいろしがらみあって、でもいろい
ろしたくて、そこの想像力っていうか空間力があって、んで、でも着飾ることな
く素直でいるって年取れば取るほど難しいと思うんだけど、そこをきちんとカッコ良くでき
るのが「情けない男歌」だと思うし、それが俺の好きな音楽なんだよ。きっと。
空虹桜>思ったより言えたじゃん。お疲れ様。(※14)
※1 過去紹介文に関してはとりあえずこっち参照。
※2 尾崎豊:80年代の象徴的ロッカ。だがしかし、81年生まれのU・Bは大ッ嫌いである。本気で尾崎信者もろとも嫌い。
※3 スキカウ:周りが引くほどU・Bが好きなバンド「スキップカウズ」の愛称。まぁとりあえずここ全部読んどけ。
※4 浜ちゃん:釣りバカではなく、後述の通り、FLYING KIDSのフロントマン浜崎貴司のこと。
※5 拡大部は歌詞より引用。
※6 響鬼さん口調で。
※7 クロスフェーダでアルバム紹介をするさい、U・Bが紹介する曲の基準。どういう内容かは今回を読んでいただければ。というか、あとで出てくるようなバンドを聴いていただければと。
※8 拡大部は歌詞より引用。
※9 拡大部は歌詞より引用。
※10 90年代の前半って全体的にそゆ時代だったんッスよ。なんつーか。モダンぶってて実はもっさい時代。ただまぁ、2020年頃には俺も90年代の言い方変えてると思いますが。
※11 スキカウ:前述 チャミグリ!:俺の青春。詳しくはここ。
※12 1つ前のU・B発言とあわせて、拡大部は歌詞より引用。
※13 コブツイ:復活気配の大和風与論バンド。詳しくはここで。
※14 空虹桜30行。U・B52行(!!)で、俺完敗。しかして圧倒的な満足感はあり。ふぅ。ようやく一つこのサイトで言えた感じ。さて、次回から、なに紹介する?リクエストあればどうぞ。