/iTS）を語る後編は、５曲目「つるみの塔」から。空虹桜＞珍しくしっかり仕切るなぁ。
Ｕ・Ｂ ＞あまり時間的余裕が無いのだ。さて、名曲であるところの「つるみの党」ですが、集団が俺を不安にさせ
る 黒いかたまりが俺をつぶす（※２）
空虹桜＞そこに反応しちゃうのが、いかにも文化系サブカル男子だよね。
Ｕ・Ｂ ＞出来るだけ集団に属したくないですからね。民主主義とか大ッ嫌いだし。集団じゃなきゃ生きてけない体育会系はみ
んな死ね！みたいな。
空虹桜＞のっけからアタシが言うべきのよな暴言連発。
Ｕ・Ｂ ＞世の友情モノとかってだいたいこの曲の１番程度でしかないわけじゃん。そのせいで自由が失われる
ことの方がよっぽど怖いんだけど、そんな感性ちっとも持っちゃいない。
空虹桜＞暑苦しいまでの全否定という。とりあえずさ、曲的には３分ちょっとなんだけど、言いたいことをホントにまるっと全部
詰め込んでて、ラップというメディア特性を上手いこと使ってるような曲だよね。
Ｕ・Ｂ ＞上手いことまとめた的な。じゃあ６曲目「無視されてるキミドリ」は短い上にインスト（※３）なので次、
空虹桜＞でも、この曲の声ネタの使い方という、タイトルとの兼ね合いって面白いというか上手いよ。やっぱり。
Ｕ・Ｂ ＞はいはい。まんまという気もしないじゃないが。
空虹桜＞「つるみの塔」の続きとして「無視されてるキミドリ」ってタイトルを列ねるところが、恣意的な自虐だし、ある種露悪的
ですらある自己顕示欲みたいなのも見え隠れするわけじゃん。
Ｕ・Ｂ ＞なんか難しいこと言ってますがそこを７曲目「大きなお世話 (SAY WHAT)」と言い切ってやる！
空虹桜＞うわっ、最低クラスの上手く言った感。
Ｕ・Ｂ ＞最低言うな。最低言うな。
空虹桜＞今じゃシスコも無い（※４）わけで、そゆことすら大きなお世話かもしれないけど、この豪華メンバも今じゃECD（※５）
ぐらいしか現役でラップしてないっていう。
Ｕ・Ｂ ＞全体的に、普通「内省的」とか言われかねないところでぶん殴って回る曲が多いじゃないですか。キミドリって。
空虹桜＞スゴい喩え方するね。
Ｕ・Ｂ ＞そりゃメジャシーンには残らんわなぁと。
空虹桜＞うん。でも、アンダグラウンドシーンでは普通のことだし、なにより93年っていう日本中の浮かれ気分が破裂する寸前
で、「鬱」が差別的に見られてた頃にこうやってハッキリ言い切ってしまっていたのは充分に新しいし、今でも全然生
きてる曲になってると思う。もしかしたら今こそ必要かもしれなくて、でもだからといって意識的に今同じこ
とをドロップするのはトゥーマッチなんだよね。
Ｕ・Ｂ ＞ああ、流行りの軽いだけのポジティヴソングってトゥーマッチだわな。たしかに。
空虹桜＞まぁ、キミドリはネガだけどね。
Ｕ・Ｂ ＞引き籠もり的じゃないネガの発信は本質的にポジの人しかできない芸当だからいいんじゃない？
空虹桜＞ああ、Coccoが明るくしてると「無理しなくていいんだよ」って言いたくなるっていう。
Ｕ・Ｂ ＞それこそ大きなお世話なわけだが。
空虹桜＞最後の８曲目は「つるみの塔Mix」で、「つるみの塔」単体ではこっちのがライトだから、一般ウケはしそう。
Ｕ・Ｂ ＞さて、まとめめいたことを。
空虹桜＞ぶっちゃけた話がさ、90年代のHipHopシーンって流行病みたいなもんでさ、ホコ天ブームとは距離があるんだけ
ど、やっぱり文化分析をする際は切り離しちゃうと見誤っちゃうと思うんだけど、
Ｕ・Ｂ ＞どこに行こうとしてらっしゃいますか？
空虹桜＞まとめを。今さっきの現役でラップしてる人がECDぐらいしかいないって話もそうだけど、お前そう言って、今なにやっ
てんの？感があったりするわけじゃない。HipHopって。往年のパンクとかもそうだけど、あんなこと言っといて、お前
ら結婚して子ども出来たら守り入ってんじゃんかよ！っていう。
Ｕ・Ｂ ＞はいはい。でも、キミドリなんかはきちんとポップカルチャに組み込まれてるじゃん。（※６）
空虹桜＞うん。そこがね。結果論としてスチャやライムスやギドラなんか見たいに売れた人たちと、売れなかった人たちとの責
任の取り方というか、売れてしまった人は売れてしまった人なりの責任の取り方をしなきゃいけないし、消えた人は
消えた人なりの責任の取り方をして欲しいなぁと思っていて、そこを懐かしさだけで「GET UP AND DANCE」やるとか
じゃなくて、ラップしなくていいから、きちんと発信をしてほしいなぁと。発信できるポジションにいるわけだし。
Ｕ・Ｂ ＞プリンだけ作ってるなと。（※７）
空虹桜＞ここではそれ関係ないし。（※８）
