第545回 The Complete Singles Collection 1996〜2001(後編)

U・B  >今さらだけど、前後編の割り当てを間違ってることに、今頃気づいた川本真琴(※1)のベストアルバム「The Complete
       Singles Collection 1996〜2001」のレヴュ後編です。
空虹桜>間違ってるの?
U・B  >普通に1枚レヴュのペースでやってたけど、これ2枚組なんよね。
空虹桜>ああ、言われてみれば1枚目の半分でちょうど終わっちゃってるね。前回。
U・B  >やらかしちゃったわけですよ。LUPINO(※2)まで喋りたいしょ?
空虹桜>最後の方のバックトラックはともかくとしてね。
U・B  >ですよねぇ・・・まぁ、ここらが腕の見せ所ってコトで、まずは7曲目「ドーナッツのリング
空虹桜>タイトルの比喩が上手いかどうかは微妙なとこではあるんだけど、こゆのって、きっとドーナッツ食べてる時
       に思いついちゃったりしちゃったからなんだよね。
U・B  >・・・そゆもんですか?
空虹桜>わりと。ただ、そっからこの必死さにつながるかってのはまた別の話で、ちょうど「桜」のカップリングなんだけど、そこで
       えぶれを見落とさない そのまま見る瞳が欲しい 噂に汚されない 風を聞き分
       けられる耳が欲しい 決心を信じたまま まっすぐ歩いていく足が欲しい※3)だもの。
U・B  >誰か止めてあげてください!っていう。
空虹桜>でも、これがいいっていう
U・B  >病んでるファンの典型のような。
空虹桜>共依存的なね。
U・B  >Coccoちゃんとか椎名林檎もそうだし、V系もそうなんだけど(※4)、病んでるの共依存ってのがわりと音楽シーン
       には多かったりするんだけど、その辺の解説をし出すと長くなるので、次、「ピカピカ」で、ホントに病んでる曲が出てきて
       10曲目「ハート」はホーンセクションがなにげに良い。
空虹桜>なんだか、明るいっていうか広がる感じの曲なのに歌詞が飛べない翼みたい ちっちゃな裸のクロー
       ル カーブ描く どんどん強くなれこころまで どんどん強くなれこころまで そん
       なに遠くまで泳げない そんなに遠くまで泳げない※5)だからね。
U・B  >「強くなれ」言ったあとすぐギブアップって!っていう。
空虹桜>ヘコたれるの早すぎだよね。
U・B  >あとまぁ、人の祖先はイルカになり損ねてなんていません!っていう。
空虹桜>川本真琴頑張るも、この時期これが限界!って感じの。あと、たぶんブックレットの写真は、歌詞とほぼ同時期の写真を並
       べてると思うんだけど、「ハート」のページの写真が、凄い美人なんだけど、なんかアレなんだよね・・・
U・B  >アレですか・・・言葉濁したところで、次。11曲目が「微熱」で、12曲目が「月の缶 (Single Ver.)」、13曲目が「FRAGILE
       とご存じなところで、14曲目が「トラブルバス
空虹桜>ごめん「月の缶」だけは、こっちのシングルヴァージョンの方が好きです。ちょっとビックリした。こんなアレンジだったんだ!と
       思ったもん。サビの「何処が出口」と「悲しみ」のところがとくに
U・B  >アルバムヴァージョンの方が、いろいろ明確だった気はするけども。個人的にピアノがハッキリしてるポップ
       ソングが好きってがあるかもしれんが。
空虹桜>なんだろう?ここまでしっかり作ってたのをあそこまで作り替えたのはなんだったのかなぁっていう。シングルの時は、なんだ
       かわかんないけど、木管楽器が結構利いてたりするじゃない。それがピアノに変わったんだから、なんか理由があるわけだ
       よ。もちろん、削除された歌詞のところもあるし。
U・B  >まぁ、今となっては掘り返してもせんのない話ですが。
空虹桜>そうなんだけどね。今聴いたことで受けた衝撃ってのはハッキリ表明しとく必要があるかなぁっていう。良きにつけ悪きにつけ。
       意思表明をしとかないと。
U・B  >で、「トラブルバス」の話を。
空虹桜ズバッ! ズバッ! ズバッ!※6
U・B  >ですか?やっぱり。
空虹桜ポップな川本真琴の完成形じゃないの?この曲。絶対耳に入ったら忘れないっていう。
U・B  >快傑ズバット(※7)ぐらいですからね。他にこんなズバッ!っとか叫んじゃうの。
空虹桜>それはウケるの?
U・B  >おそらく。さて、1枚目は終わって2枚目の1曲目「ギミーシェルター (alternative single ver.)」2曲目
       「Re-FRAGILE (remixed by Stan Katayama)」3曲目が「ギミーシェルター (remixed
       by EY∃)」と、カップリングのリミックス曲が続き、唯一アルバム収録されていなかったシングル「ブロッサム」が
       4曲目で、作詞は七尾旅人
空虹桜>なんだかアタシが好きなミュージシャンには必ず関わってる気がする七尾旅人。
U・B  >ちょっとここだけおいらに喋らせて欲しいんですけど、スゴいこの曲ミドリ(※8)の曲みたいな聴こえ方するんですよ。
空虹桜>ハァ。
U・B  >やる気無さげですけど、ぜってぇ、おめぇにミドリのレヴュやらせるからな!って、そうじゃなく、全然理由はわからんのだけ
       れど、この曲をハジメタルが弾いて、後藤まりこが唄うのは問答無用に絵になると
       思うんです。やってくれませんかね?
空虹桜>アタシに言われてもねぇ。
U・B  >ええ。とりあえず言いたいこと言えたからスッキリしました。次、5曲目「ALPHABET WEEKS
空虹桜>全然どこがアルファベットなんだかわかんないけどあと少しだけ稼げる 仕事見つけに行こうよとか
       ぜんぶやりなおせそうな※9)とか、なにげに宣言文が紛れ込んでる
U・B  >消えるでたらめですけどね。
空虹桜>まぁね。実際問題、これでお終いだったわけだし。つい去年まで。川本真琴としては。
U・B  >ええ。
空虹桜>あと個人的には虹色の煙るの出る 君にぴったりなMUSIC※10)って歌詞が好き。
U・B  >6曲目が「OCTOPUS THEATER (STAN'S LONELY HAMMOCK VERSION)」で、ここから
       が問題のLUPINOです。まずは「宝石の神話」で、これでデヴュしてたら2足速いPerfume扱いだったことこの上ない。
空虹桜>そう?踊んないよ。きっと。
U・B  >それはまぁ。ただ、いちお、4つ打ちでしょ?これ。あと、このファニィヴォイス全面だったら路線は全然違ったんだろうなぁっ
       ていう。
空虹桜>好きにはなってなかっただろうね。
U・B  >たぶん、レアトラックというか、知る人ぞ知るB級アイドル的な扱いで、レア盤掘ってる邦楽DJとかにウケてた気はする。ちな
       みに、次の8曲「No.1 Hippie Hop」まで来ると歌詞まで「アンドロイド」とか入って来て、Perfumeっぽさが上がるんだ
       けど、いかんせんヴォーカルとしては感情が前に出てきてて、中田ヤスタカ(※11)がプロデュースし
       てたらアウトだったろうと。
空虹桜>もう、なんの話だかわかんない。
U・B  >ぶっちゃけ、言ってる本人もよくわかんないッスからね。
空虹桜>なんだそれ・・・
U・B  >9曲目「たすけてよWindy」になると、キュートポップ的な路線まで狙ってる感じがあって、このままレコード会社とか
       事務所の打算で行ってたら、回り回って結局同じようなのでさらにヒドい苦しみが待ってたんじゃないかっていう。
空虹桜>妄想がスゴいことになってるね。
U・B  >シミュレーションですから。さて、だいぶ長くなった今回最後はLUPINOの曲の最後「電話の前で」で、今までの3
       曲はなんだったん?っていう。
空虹桜>なんだったんだろうねぇ。これは完全に川本真琴の曲だもんね。
U・B  >ですわな。ポップ川本じゃやっぱりやりきれなかったっていう。
空虹桜>作り手側として、一つの路線をずっとやり通すのって相当キツいことだと思うんだよね。すくなくとも、アタシだったら
       飽きるもん
U・B  >結構、芸風一つの作家さんに見えますけど。
空虹桜>商用と非商用で芸風分けることにしたから。
U・B  >ヤらしいなぁ。
空虹桜>ええ。そりゃあもう。それはともかく、今時だったら「会いたい」って言っちゃうだけで終わる曲なんだよね。これ。
U・B  >よもやの「会いたい」系バッシング?そもそも、空虹さんの作風が「会いたい」系じゃないですか。
空虹桜>ヒドいこと言うなぁ・・・
U・B  >冷静にツッコんでるだけです。
空虹桜>兎にも角にも、SONY時代に苦しんでた川本真琴の歴史が詰まってるアルバムで、なにせ、「1/2」が3rdシングルで「桜」が
       4thシングルっていう、間がないことに見る、芸能界というか、攻撃する人々のえげつなさみたいのを感じずに
       はいられない、でも、ありがとうなベストアルバムです。アタシには。(※12


※1 川本真琴:福井出身の母親が演歌歌手になってしまったシンガソングライタ。
※2 LUPINO:川本真琴としてデヴュする前に名乗るつもりだった芸名。
※3 拡大部は歌詞より引用。
※4 Coccoちゃん:沖縄のユタ的なヴォーカリスト。 椎名林檎:a.k.a 歌舞伎町の女王。 V系:ヴィジュアル系の略。
※5 拡大部は歌詞より引用。
※6 拡大部は歌詞より引用。
※7 快傑ズバット:常にNo.2と人を侮辱するヒーロ(ヲイ)ビバ!宮内洋。
※8 ミドリ:昔はヴォーカル後藤まりこがセーラ服着てったことで有名だったけど、今じゃめっきり人妻な日本のパンクバンド。U・Bは大好きなクセに、未だ一枚もTシャツを持ってないことで有名。
※9 拡大部は歌詞より引用。
※10 拡大部は歌詞より引用。
※11 中田ヤスタカ:金沢出身のある種男の憧れなプロデューサ。capsuleの中の人。1コ上なのはなにげにコンプレックス。松坂とか中田ヤスタカとか、なんだよ!1980年生まれの連中は!!
※12 空虹桜48行(!)U・B50行(!!)で、の負け。なんだ。なにげにそんな喋ってたのか・・・っていうか、さすがに喋りすぎでね?これ・・・


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