第558回 DIGITAL BREATH

空虹桜>1年ぶりにAFRA※1)の話です。2ndアルバム「DIGITAL BREATH」は8曲入りなので、1回で全部やっつけてし
       まいましょう。
U・B  >全体で15分無いアルバム(※2)ですからね。クロスフェーダ史上一番短い。
空虹桜>1曲平均2分無いもんね。
U・B  >なわけで、1曲目「SHOCKIN' SHOPPIN'」で30秒強のトラック。
空虹桜>ビートボックスよりもフィールド・レコーディング(※3)でサンプリングしたゲーム音のが盛大にフューチャされてるっていう。
U・B  >そこを理解するためにも必要な情報として、プロデューサがPrefuse73(※4)。
空虹桜>前回のプロデューサがシンコちゃん(※5)で、アプローチとしてHipHop寄りだったのに対して、今回は音源としての
       ヒューマン・ビートボックスに重きが置かれてるっていう。
U・B  >なので、ゲーム音への比重が大きいのも違和感が無いし、それより次の2曲目「Slice My Beat Nice!」が、わかりや
       すいぐらいにわかりやすく切り刻んでる。
空虹桜>ディジタル音楽というか、こういうトラックの気持ち良さってのは、現代だから実感できることだし、全体的にこれだ
       け音が詰まっているからこそ、実はクラブ音楽にとって間がスゴい重要だってのがよくわかる。
U・B  >ハイハイ。音が止まってる瞬間って実は緊張で、そこからの弛緩が気持ちいいっていう。
空虹桜>マッサージされてるようなもんだからね。音楽って。
U・B  >実際、音は空気振動なわけですから。
空虹桜>オーディオ・システムとかさ、やっぱりLOWが効いてるスピーカを前にした時って、音って波なんだなぁって、しみじみ
       思うんだよね。
U・B  >音が波じゃなかったらなんなんだ!っていうツッコミは自重させていただきます。次、「SIMPL SAMPL」で、ホントにこ
       のアルバムの中ではシンプルなトラック。
空虹桜>アルバム全体的にどっちかっていうと玄人ウケしそうなトラックが多い中で、群を抜いて入りやすい曲だよね。
U・B  >繰り返してると他の曲に印象消されちゃうカモだけどね。次、4曲目「OFF」で、ほとんどヒューマン・ビートボックスが入ってな
       い、短い曲。
空虹桜>30秒だからね。でもこのなんか若干不安気味な感じも込みで、東京って街のフィールド・レコーディングが生きてる
       し、なんだっけ?サウンドステッカーとかにいい感じなトラックじゃないかと。
U・B  >サウンドステッカー!久々に聞いたその響き。べつにジングルでいいじゃないかと思うんだけど、アタックとか言っ
       ちゃったりとかしてもいいですか?みたいな。
空虹桜>そこ広げなくてもいいから。
U・B  >日和らんでも。次、「SOMEDAY Featuring Vinia Mojica」は歌すらも素材の一部になってる感があって、
       れない人には新しいんじゃないかと。
空虹桜>素直にこの人の歌声気持ちいいよね。
U・B  >あなめずらし。
空虹桜>なんだそれ。
U・B  >歌声褒めるとか珍しいなと思って。次、6曲目「OFFF
空虹桜>流れ的にこの曲が来るのは、もうすぐこのアルバム終わるんだなぁっていう。
U・B  >あっと言う間感はあるね。と、思った矢先に来るのがむしろエレクトロ全開な「SLICE MY TONGUE NICE?
空虹桜>曲名的には2曲目に呼応してるんだけど、トラックとしては全然こっちのが好き
U・B  >ホントにビートメイカとしてしかAFRAがいないように聴こえるんだけど。
空虹桜>そこはそれ。そう聴こえたんですか。ってところでいいんじゃない?単純にトラックのおもしろさみたいなところで反応し
       てるんで。
U・B  >さいですか。では、最後に8曲目表題曲「DIGITAL BREATH
空虹桜>ようやくなんか、ヒューマン・ビートボックスが前面に来た曲な感じ。
U・B  >曲名は言い得て妙感がある。
空虹桜>慣れない話し方していい?
U・B  >なんッスか?
空虹桜>攻殻機動隊(※6)とかあるじゃない。
U・B  >よもや空虹さんの口から攻殻ですか?
空虹桜アンタよりもSF読んでるっての。で、単純な話として、結局テクノロジィの行き着く先が生体との
       ハイブリッドだとして、生体コンピュータ的なね。で、このアルバムが出て、数年後にCapsuleとかPerfume(※7)が
       出てきて、正直なんだか、ようやく21世紀が来たんだなぁって思ったの。
U・B  >よもやな単語のオンパレードですな。
空虹桜>冷やかさないで。ともかくね、アタシが邦楽しか知らないからかもしれないけど、こゆ音楽がきちんと日本から出てくる
       のって結構重要だと思っていて、日本の伝統ってのは和式的な様式美じゃなくて、柔軟な吸収力の高さ
       と思ってるから、時代の最先端というか、ガラパゴスであっても尖っているのなら、それは正しい有り様だと思っていて、
       あんま正しいとか誤りとか好きな言い回しじゃないんだけど、こゆ音楽が2004年とかに日本からちゃんと発信されるのは、
       ばしいことだよなぁと。(※8


※1 AFRA:本名の「Akira」とアフリカ系アメリカ人を意味する「Afro」を混合して作ったAFRA。1stアルバムのタイトル「Always Fresh Rhythm Attach」は後付けらしい(Wikipedia情報)有名になったキッカケはゼロックスのこのCM
※2 ちゃんとフルアルバム分の値段で売られていた(詳しくはリンク先のAmazon参照)のだけど、実はここで触れていないけど、特典DVDが豪華。
※3 フィールド・レコーディング:おそらく、CDの小冊子にそう書いてたから、連呼してるのではないかと思われる。単なる無許可の路上録音。
※4 Prefuse73:本名スコット・ヘレンなアメリカのミュージシャン。ラップをサンプリングし、ズタズタに分解・再構築する「ボーカル・チョップ」という技法を生み出し、数々のフォロワーを生んだらしいよ!(Wikipedia情報
※5 シンコちゃん:スチャダラパーのDJ。スヰンギン・シンコのこと。
※6 攻殻機動隊:士郎正宗による漫画だけど、押井守によるアニメというか、病んでるオタクはみんな公安9課と草薙素子が好き。
※7 Capsule:中田ヤスタカとこしじまとしこによるピコピコな音楽ユニット。なんだかんだで、こしこは可愛い。 Perfume:あーちゃんです。かしゆかです。のっちです。3人合わせてPerfumeです。よろしくお願いします。
※8 空虹桜32行。U・B24行で、たぶん久々にの勝ち。アナログをディジタルに使うとか、ディジタルをアナログに使うって、向こう5年ぐらいは重要でしょうからね。


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