第597回 野狐禅(後編)

U・B  >実はライヴ盤も持ってるけど、後ろも詰まってることだし、これが最後の野狐禅※1)話は4thアルバム「野狐禅」(Amazon
       iTS)の後編です。
空虹桜>早速6曲目は「あほみたい」で、あほみたい ほーみーたい※2)の「ほーみーたい」がなにか?が一番重要。
U・B  >んだ。単純に考えると「hold me tight」な気がするんだけど、するとだ、直訳しちゃえば「アホみたい。強く抱いて」で、なんだか前後
       の歌詞とあわせてよくわからんことになっちまうだ
空虹桜>何弁だよ!とかツッコむ気力すら失う勢いですこと。
U・B  >正直、ファーストインプレッションからずっと、この曲は語呂だけの曲かな?感が拭いきれないんだけど、なんか隠
       れてそうなんだよなぁ・・・
空虹桜>語呂だけといえば、このアルバムはたしかにそんな感じの曲が多ございますね。7曲目の「えいえいおーと泣くので
       」なんかは、べつになにも掛かってはいないんだけど、何故か強烈な語呂だけ感を纏ってる強力な曲。
U・B  >とはいえ、いい曲でしょ?これ。君にもう一度 ぼくの本当の 走り方を 見せたやりたくってよ
       (※3)とか、トンガリ方というか、結局さ、泣いて決心してる曲じゃん。しかも君に向かって
空虹桜>はぁ。
U・B  >「えいえいおー」って、泣きながら自分がそんなこと言っちゃってることに気づく感じってのを思うと、たとえば、Theピーズ(※4)とか
       eastern youth(※5)と似て非なる強さを思うわけですよ。
空虹桜>ごめん。全然わかんないので、8曲目「気づけなかったよ、ごめんね」で、アタシ的には野狐禅史上一番
       好きな曲
U・B  >ほう。そう来ますか。
空虹桜>素直に解釈すると、謝ってるけど、この女相当悪い女だよ。自分のことで勝手にテンパって、相手のことはどーでもいいって
       いう。
U・B  >それが好きなんだ。
空虹桜>このなんとも言えないやりきれなさって最高じゃん。
U・B  >ゲスいな。
空虹桜>失恋の曲とかで共感度が高いのなんかは、軒並みゲスいんだけどね。本質的に。
U・B  >それを言っちゃ・・・
空虹桜>9曲目は完膚無きまでに語呂だけの曲「よう挑んだ」はタイトルと「用意ドン」が掛かっている。
U・B  >そこをそうやって説明しますか?
空虹桜します
U・B  >いや・・・この曲はもうのっけの影にも置き去りにされそうなくらい ゆっくりゆっくり歩いて※6)が、と
       んでもないくらいキラーチューンだと思っていて、このワンフレーズで充分お金取れると思うんだよなぁ。実際はともかく
空虹桜>また余計なことを・・・最後。10曲目「東雲
U・B  >ここに来て、作詞作曲濱埜宏哉が大爆発というか、初期衝動が通り過ぎた野狐禅はたぶんこの路線で問題無かっ
       たハズなんだけど、どうしても野狐禅の名前でピストルが唄えなかったっていう。
空虹桜>深読みすれば約束をしよう 小さな約束ひとつ そこには大それた夢なんて無くたっていい
       ただひとつ ただひとつ それを果たすために歩くんだ それを結んでゆくために歩く
       んだ※7)は、いつか再結成しようっていう。
U・B  >UNICORNでいうところの「すばらしい日々」(※8)的な。
空虹桜>それを、当てる本人に唄わせるってサドだよね
U・B  >ホントにいやらしい解釈をなさる。
空虹桜>とはいえ、たしかにいい曲。
U・B  >ええ。まとめがてらに長々と喋らせていただきますけど、たぶんこのアルバムを作った頃には解散が決まって、きっとピストルの中
       では、オーガスタ離れた時点で既にそのつもりはあったんだと思うんだけど、野狐禅が初期衝動のユニットだったとして、改めてこの
       アルバムを聴き直すと、その初期衝動を失ったことへの謝罪ばかりのアルバムなんだよ。これ。もう
       あの頃には戻れませんっていう。もちろん、ピストルにしろ、濱埜にしろ、今の活動を知った上で、初期衝動じゃ
       ない野狐禅だって全然アリだし、見たかったって、今ならちゃんと言えると思っていて、それは「東雲」の良さ
       に象徴的なんだけど、だから、解散してからまだ2年とかしか経ってないからもうちょっと寝かせた上で、復活するのは全
       然問題無いんだよって言いたいなぁと。(※9


※1 野狐禅:道都大学社会福祉学部在籍時に知り合った、竹原ピストルと濱埜宏哉の二人組。その昔、NHKの「TR」にだって出演した。2009年5月9日解散。
※2 直前の拡大部は歌詞より引用。
※3 改行前の拡大部は歌詞より引用。
※4 Theピーズ:1987年に結成した日本のロックバンド。ヴォーカルの大木温之(ハル)の、平易で短い言葉で表しきる歌詞がいちいち刺さる名バンド。
※5 eastern youth:bloodthirsty butchersと並ぶ、日本におけるエモーショナル・ハードコアの先駆け的バンドらしい。こちらはちょこっと文学的な表現が多用されるんだけど、それでも歌詞がいちいち刺さる名バンド。
※6 拡大部は歌詞より引用。
※7 拡大部は歌詞より引用。
※8 UNICORNでいうところの「すばらしい日々」:UNICORNの8枚目のシングルは奥田民生からバンドを脱退する西川幸一へあてたメッセージソングとも言われている。
※9 空虹19行。U・B28行での負け。そんなわけで、次はフラキの新譜の話をします。


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