第701回 川本真琴 and 幽霊

空虹桜>2010年の本格的活動再開以来、毎年なにか音源を発売している川本真琴※1)が2012年に幽霊と組んで出した「川本真琴
      and 幽霊」(Amazon iTS)を話します。
U・B  >Wikipediaではシングル扱いですが、4曲入ってればミニアルバムで良くね?ということで、ウチではミニアルバム扱いです。
空虹桜>iTunesではEPになってるんだけどね。(※2
U・B  >まぁ、そこはそれ。各自それぞれに流儀がありますからね。さて、1曲目「DEVELOP
空虹桜>幽霊にまったく触れずに進めてもいいんでしょうか?
U・B  >なんか珍しく冷静ですね。
空虹桜>もう一般解として、川本真琴って誰?だって自覚症状はありますから。
U・B  >それを言うと、アルバムレヴュで扱ってるのは押し並べて、誰それ?ですから・・・
空虹桜>まぁね。
U・B  >そんなわけで幽霊は写真家の佐内正史(※3)なわけですが、そんなことよりも「DEVELOP」の話を。
空虹桜>シレッとバラして、しかも追い詰めてきますか。
U・B  >さぁ。さぁ。さぁ。さぁ。さぁ。さぁ。
空虹桜>なんか楽しそうだなぁ・・・もともと川本真琴って、デヴュ曲が「愛の才能」(※4)だったりすることもあって、セクシャルな感じではあったんだけ
      ど、この曲は淫靡感がちょこっとあって、でもまぁ、幽霊って名乗っちゃう人と共作だけあって、なんかとらえどころのない曲
U・B  >ギター一本でずっと進んでますしね。
空虹桜>しかも同じコードのループでね。
U・B  >微妙に不安定な感じが良いと言えば良いけど、正直そんないい曲ではない
空虹桜>ファンじゃ無い人がそれを言うと、完全否定ですよ。
U・B  >そゆポジションも取りつつ話を進めるのがクロスフェーダですから。さて、2曲目「豆の収穫」で、朗読してるのが佐内正史。
空虹桜>この曲モティーフで一本超短編書いたんだよね。(※5
U・B  >はぁ。
空虹桜>なんかね、病気がなおりかけている時は いつも未来を生きている。※6)ってフレーズがヤケにグッと来
      んだよね。
U・B  >朗読が退屈だから、川本真琴が唄い出すと急にハレな感じになることのが重要な曲だと思ってたんですけど。
空虹桜>それはそれで、曲の構成としてグッと来るところではあるんだけど、ちょうどこの曲聴いてる時にいつも未来を生きているがパンチ
      ラインだったんだよ。
U・B  >そこなんだ。
空虹桜>そこなんです。結構残念な子ですから。
U・B  >空虹さんが残念な子なのは、ここをしばらく読んでる人ならたいていご存じですから、改めてご自分で仰られなくても
空虹桜真丁寧にdisるな!
U・B  >さて、3曲目は「first flight night」で、唯一川本真琴感がある曲。
空虹桜>たしかに。この曲はもう断トツで窓越しにプラグインしたメモリーカード※7)で、川本真琴の曲で「メモリーカード」ってフレー
      ズの違和感がたまんない
U・B  >歪んでますな。
空虹桜>歪んでますよ。もちろん、「Kiss」のワンフレーズに脊髄反射してしまう刷り込みはあるんだけど、それを言うと、この曲全体として、なんか
      1stアルバムのダイジェスト感があって、抱いた感慨とメモリーカードの寓意を思うと、15年経っちゃったんだなぁっていう、
      んとも言えない郷愁に駆られるんだよね。
U・B  >ついてけない次元で、ガッツリ感情移入してらっしゃる。
空虹桜>アルバムレヴュとは名ばかりで、そゆことする企画でしょ?これ。
U・B  >いかにも。最後。4曲目は「出逢いの星」で、ピエール・バルー(※8)が唄った「Boule qui roule」のカバー。
空虹桜>コンセプトとはいえ、佐内正史が唄っちゃダメだよね
U・B  >台無し感はありますわな。
空虹桜>コーラスならまだイケるかもしれないんだけどね。
U・B  >ええ。むしろ、ここでは川本真琴がフレンチポップでもイケるっていうのが重要かと。
空虹桜>もともと、LUPINOがテクノポップよりだったりしたんだから、その可能性にはもっと早く気づくべきだったんだけどね。(※9
U・B  >たしかに。
空虹桜>豊田道倫(※10)が「願いがかわるまでに」(※11)へ寄せたコメンタリィで、バッツリ、このアルバムを切って捨てて、その感覚自体はわからじ
      ゃないんだけど、1曲だけでも拾える曲があれば、それはいいアルバムなんじゃないかと。
U・B  >なんか、後ろ向きな〆ですね。今回。(※12


※1 川本真琴:福井が生んだシンガソングライタ。90年代を駆け抜けた才能。
※2 EP:Wikipediaによると、日本ではシングルレコードのことをEP盤と呼ぶことがあるが、Extended Playとは本来、「収録時間がLP(フル・アルバム)よりは短いが、シングルよりは長い」という意味である。そのため、英語圏ではあくまで、EPは「シングルより長いもの」を指すんだってさ。
※3 佐内正史:24歳で写真をはじめ、2002年に第28回木村伊兵衛写真賞を受賞している、石野卓球の小学校の同級生写真家。
※4 愛の才能:彼の岡村靖幸が作曲・編曲した川本真琴のデヴュシングル。とりあえず、YouTubeでPVを見ればいいじゃないか。
※5 この曲モティーフで一本超短編書いたんだよね:「あと戻りはしない」(未公開)(by 空虹
※6 拡大部は歌詞より引用。
※7 拡大部は歌詞より引用。
※8 ピエール・バルー:1966年の名作「男と女」でヒロインの夫役を演じた人。そういえば、「男と女」見てねぇや。シンガーソングライタでもある。
※9 LUPINO:川本真琴がメジャデヴュ前に使っていた名義。「The Complete Singles Collection 1996~2001」収録。
※10 豊田道倫:パラダイス・ガラージの中の人。なんかスゴい見る機会がありそうで無い人。
※11 願いがかわるまでに:川本真琴が2013/10/23にリリースした新作。
※12 愛の才能:川本真琴のデヴュシングルにして伝説。ご存じ岡村靖幸プロデュース。
※13 空虹桜29行。U・B21行で、の勝ち。しかしさ、4曲しか無いCDのレヴュでこんな喋ってたら、キリないよね。ホント。


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