U・B >ちょうどNEWアルバム「Almost A Rainbow」の発売が発表されたばかりのアナログフィッシュ(※1)の内では7th扱いで、Wikipediaでは
9thなアルバム「NEWCLEAR」(CD / MP3)を語る前編です。
空虹桜>1曲目が「Super Structure」で、ちょっと珍しい曲調。
U・B >いきなりはじめましたね。
空虹桜>出だしからU・Bさん結構喋ってらっしゃるから。
U・B >いやまぁ、たしかにそうなんですけども。とりあえず、このところ見え隠れしていた、下岡晃(※2)のインダストリアルよりな音表現が明
確に出てきた曲ですよね。(※3)
空虹桜>なんか音楽通みたいな言い回ししたね。
U・B >いい加減、こんだけしゃべくり倒してきて、通じゃ無いってのもアレですよ。
空虹桜>まぁたしかに。
U・B >タイトル的にもインダストリアルな感じですけど、出だしの一人たたずむ男はコントロールフリーク 管制塔から今も君
の事じっとみつめてるんだぜと踊る阿呆に見る阿呆 踊りたいように踊らなきゃソンソン(※4)の対立という
か対比というか、仕方ないから踊るしかないね!感が、2013年を包んでたある種の絶望に対する答えというか、結
局それしまないっていう。
空虹桜>スチャさん(※5)が2011年のタイミングで「とにかくパーティーを続けよう」(※6)って、言ったのがビックリすることに2年経っても
そのままだったっていう。
U・B >恐ろしいことに、2015年の今から振り返って見ると、あの時期すらまともだったかも
しれないっていうね。
空虹桜>なにをもって「まとも」と呼ぶかだけど、まぁ、そこはかとない無能の行列。
U・B >2曲目が「My Way」で、唄われるのがこの街で君と出会って いくつかの夢に破れて いくつかの理由をなくし
て まだここにいるのは 慰めあうためなのか(※7)
空虹桜>別に慰められたいために今を生きてるわけじゃないし、誰かに承認されたいわけでもないじゃない。
U・B >空虹さんなんかは、惰性で生きてらっしゃると自称されてますから、余計にそうですよね。
空虹桜>とはいえさ、2011年を現実として生きた上で、今にいる人がなにも思うところがないかって言うと、それはやっぱり嘘だと思うんだよね。
もしかしたら、信仰かもしれないんだけど。
U・B >お金の話をしてる人たち見てると、自分たちが「正義」みたいな単語で教わってきたことって、恐ろしいほどの全否定ですからね。
空虹桜>対抗概念があるのは、ある種真っ当なんだけど、彼らの正義に染まりたくないというか、彼らの論理に染まりたくはない。
U・B >論理はあくまでもツールでしかないハズですからね。
空虹桜>そんなことを真面目に考えてしまってから流れ出す3曲目「Good bye Girlfriend」は、いきなりさよならGirlfriend 僕の心
臓 さよならGirlfriend 僕の光 さよならGirlfriend Sorry darlin'(※8)なんて小っ恥ずかしいフレーズが飛び出し
てくる。
U・B >なにせ、歌い出しから恥ずかしいぐらいですからね。
空虹桜>しかもなんかいいメロディラインに乗っかって、ヒドいというか、いっそゲスいぐらいの男を唄うっていうね。
U・B >これがまた3曲目なのに健太郎曲(※9)だったりしてね。
空虹桜>まぁ、続き物として聴けないこともない。
U・B >僕の道を突っ走っちゃって、彼女と別れるゲスな男と。
空虹桜>それはそれで、高倉健あたりの若かりし頃感だね。(※10)
U・B >たしかに昭和っぺぇ感じではありますな。あと、この曲ちゃんとスピーカから音出したら、記憶よりも全然ベースが強くてビッ
クリしました。
空虹桜>そして、4曲目がキラーチューン「抱きしめて」
U・B >3.11前にこの詞自体はあったらしいんですけどね。(※11)
空虹桜>逆に言うと、それで出そうっていう決断ができるか?って話ではあるよね。
U・B >実際はライヴとかでもっと前から唄ってはいたけど、2013年のタイミングで危険があるから引っ越そう 遠いところへ引っ越
そう 畑と少しの家畜をかって 危険が去るまでそこにいよう(※12)っていう歌詞を、商業音楽で発売するっていうね。
空虹桜>しかもこのタイトルのアルバムで。
U・B >軽はずみだとdisることも出来るけど、ホントに軽はずみだったらどこにいてもなにをしててもこの世界で もうここでいい
からもっと強く抱きしめて(※13)なんて唄えないハズなんですよ。
空虹桜>大事な人がいなくなったとしても、ならば余計に、この世界のここでいいから抱きしめて欲しい。
U・B >それを、健太郎と晃二人の掛け合いで唄うっていう。
空虹桜>BL的にもアガるよね。
U・B >待て。
空虹桜>さて、5曲目は「GOLD RUSH」で、実は思い出ばかりが幽霊のようにガラガラの道に渋滞してく(※14)のワンフレ
ーズが抜群に好き。
U・B >そこ来ますか。
空虹桜>夜の地元を歩いてる時ってそんな感じしない?たとえばベルロードとか、やすらい通りとか。(※15)
U・B >ああ・・・ああ・・・ああ・・・
空虹桜>なんだろうね?あのいたたまれない感じ。寂れた感じとかは、自分が毎日のように歩いてた頃から大差ないわけじゃない。
U・B >ねぇ。もちろん、過疎高齢化してるわけで、潰れた店の数は前より多いけど、そんなの誤差の範囲ですからね。
空虹桜>0にならなければ、1も2もたいした差ではないからね。心象表現的な風景ではあるけど、じゃあ、そこまで懐古主義的な心境で見てるか?っていう
と、そうじゃないわけじゃん。
U・B >そッスなぁ・・・ちなみに、GoldRushは行ってしまったよ 穴だらけにして 僕だけを残して(※16)ってのを、高度経
済成長期の比喩みたいに読むと、もっとえげつなく聴こえますよ。
空虹桜>ああ。炭坑町のリアリティだね・・・(※17)
U・B >アナログフィッシュ的には、長野の風景かなぁとは思うんですけどね。
空虹桜>さて、今回最後の6曲目が「奇跡のような日」は珍しく下岡晃の曲を佐々木健太郎が唄っている。
U・B >もうアレですよね。空虹さんも立派なアナログフィッシュファンですよね。
空虹桜>油断して見ると「アナログフィッシュファン」ってなんか、ゲシュタルト崩壊起こしそうだね。(※18)
U・B >なんだそれ。
空虹桜>たぶん、ちっちゃいツとシとンのせいだね。
U・B >だからなんの話かと。とりあえず、出だしの僕の運命とただの偶然が 混ざり合って絵の具の様に 今日を描いて
いく(※19)って言い回し、結構上物だと思うんですけど、どうッスか?
空虹桜>つまり、その偶然を「奇跡」と呼んでるわけだ。
U・B >ああ、空虹さんわりと「奇跡」とか、あんま好きじゃないんですよね。
空虹桜>好きじゃないっていうか、軽はずみに使いたくないだけ。
U・B >別にこの曲が軽はずみに使ってるわけじゃないと思いますけどね。なんだ、むしろ、奇跡の価値を高くしすぎないことでの慈し
みみたいなもんじゃないッスかねぇ。(※20)
※1 アナログフィッシュ:1999年に結成の下北系ギターロックバンド。長野県下伊那郡喬木村出身の下岡晃(Gt&Vo)と佐々木健太郎(Ba&Vo)に斉藤州一郎(Dr)を加えた3ピースバンド。
※2 下岡晃:アナログフィッシュのギターヴォーカル。常にニット帽を被っていることで有名。
※3 インダストリアル:Wikipediaによると「工業生産される大衆音楽」へのアンチテーゼなんだってさ!
※4 拡大部は2つとも歌詞より引用。
※5 スチャさん:空虹さんが大好きなヒップホップグループスチャダラパーのこと。
※6 とにかくパーティーを続けよう:これからも ずっとずっとその先も このメンツ このやり方 この曲で ロックし続けるのさ!(from「今夜はブギー・バック」)
※7 拡大部は歌詞より引用。
※8 拡大部は歌詞より引用。
※9 健太郎曲:アナログフィッシュのベースヴォーカル佐々木健太郎が作詞した曲。アナログフィッシュは、両ヴォーカルが作詞作曲を行うことで有名。
※10 高倉健:「網走番外地」あたりのイメージで喋ってると思われます。
※11 3.11:東日本大震災のこと。なんかのインタヴュで読んだんだけど、ソースは忘れた・・・
※12 拡大部は歌詞より引用。
※13 拡大部は歌詞より引用。
※14 拡大部は歌詞より引用。
※15 ベルロード:北海道滝川市の駅前通りの愛称。 やすらい通り:北海道赤平市随一の繁華街。ああ見えても。ああ見えても・・・
※16 拡大部は歌詞より引用。
※17 炭坑町のリアリティ:U・Bと空虹の故郷であるところの赤平市には、炭鉱がいっぱいありましたとさ。
※18 ゲシュタルト崩壊:Wikipediaによると、全体性を持ったまとまりのある構造から全体性が失われ、個々の構成部分にバラバラに切り離して認識し直されてしまう現象をいうんだって!
※19 拡大部は歌詞より引用。
※20 空虹33行。U・B42行で、俺の負け。久々に喋った感ですが、まだまだ次回に続きます。