第836回 ALMOST A RAINBOW(後編)

U・Bアナログフィッシュ※1)の9th扱いで、Wikipediaでは11thなアルバム「Almost A Rainbow」(CD / iTS
    / MP3)を語る後編です。
空虹桜前回の続きなので7曲目からだけど「Walls
U・B>単純なコードのループですけど、この歌詞で「Walls」ってタイトルは、なかなか付けられないんじゃないかなぁと。
空虹桜>曲中壁が出てくるのって、僕は運命を愛せないまま こんなになっちまった 目の前に壁があ
    ったら いったいどっち側に立つんだろう※2)の1回だけだもんね。
U・B>そのあとのサビで選んだのか選ばされたのか気づいたのか気づかれたのか傷ついたのか傷
    つけたのかと繰り返すあたりで、壁の比喩がなにを指しているのか漠然とわかるんだけど、じゃあ、英語に
    してまで曲のタイトルにするか?っていう。
空虹桜>とはいえ、「壁」じゃ、日本語ロックのタイトルにしてはハードすぎるでしょ。
U・B逆にロックですけどね。
空虹桜>いらないよ。その手の逆は。8曲目は「Hate You」で、しみじみ浮気されたんだなぁっていう。
U・B>単刀直入な。ちなみになんだ、レコーディングスタジオに「Garden Wall」が入ってるから、7曲目の曲名は「Walls」なのかも
    しれないですよという余談
空虹桜>別に確認したわけではなく。
U・B妄想は逞しく。で、話を戻すけど、最後がhate you. love you. believe you. hate you.※3)です
    からね。
空虹桜痛々しいよね
U・B>まったくで。
空虹桜君は秘密を抱えて ホント自然に笑うんだね※4)って、違うんだよね。それはそれ。これは
    これなんだから
U・B>身も蓋もない。
空虹桜>男は、いい女見かけたら靡くし、女は、いい男見かけたら靡くわけだよ。もちろん、セクシャルマイノリティだったら、ちょっと
    違うけども、端的に一般化すれば、自分好みな性欲の対象がいたら発情するわけじゃん。
U・B>色気もなにもない言い方しますね。流石です。
空虹桜>んでさぁ、発情と愛情は異なるんだよ。
U・B>まさかの名言口調。
空虹桜おそらくは発情の方が古い感情で、だから、ごっちゃになる感じもわかるんだけど、明確に別だと考えないと、
    いろいろ行き詰まるよね。
U・B>なんかあったんですか?そゆめんどくさい話。
空虹桜無いです。さぁ9曲目ですけど「夢の中で」も、今の流れで聴いちゃうと同じように、新しい男が出来て、趣
    味が変わっちゃった女の子を唱ってるように見える
U・B>オカヤスシズエ(※5)がコーラス入ってるから、その感じは余計に強いですよね。
空虹桜>まぁ、焼きすぎたトーストや 甘すぎるコーヒー※6)なんて好みな男はロクな男じゃないで
    すけどね
U・B>ホント、なんかあったんですか?
空虹桜>無いですって。
U・B>あったんならちゃんと、ここでネタにしてくださいね
空虹桜>うん。しないけどね。
U・Bしろよ!って、そうじゃなく。これも下岡曲(※7)なんで、ちょっと深読みしたいんですよ。
空虹桜>どうぞどうぞ。
U・B>ここでいう「趣味」ってのが、ずっと空虹さんが言ってる「好み」的なモノってより「思考」とか「志向」みたいなモノと解釈し
    て、曲名が「夢の中で」なわけじゃないですか。
空虹桜>はいはい。
U・B>そうなるとまた、一気に現実的なところに引きつけられて、僕の趣味では無いこの世界って、誰の趣味で
    出来てるんだろ?とかいつの間にこの世界は、誰かの趣味に書き換えられてしまったの
    だろうみたいな解釈になるじゃないですか。
空虹桜>そういう解釈も出来るね。
U・Bホント、誰の趣味なんですかね?
空虹桜>知らないよ。アタシの趣味でもないし。10曲目「こうずはかわらない」で、きみをあいすしかない そ
    れができそうもない※8)のサビに尽きる曲なんだけど、さっきからの流れでアタシの解釈でいくと、浮気され
    た彼女を愛すしかないんだけど、出来そうにもないっていう
U・B>しかも一番の歌詞がのっけからただぼくはあやまったりゆうはわからないまま きみはおこって
    たしそれがいやだった なんとかおさまった※9)っていう。
空虹桜>ダメだねぇ。
U・B>完全にダメですよね。
空虹桜>でもって、女声コーラスがこうずはかわらない※10)って言う。
U・B>言っちゃいますね。どうしようも無いですね。で、これも俺の流れで解釈すると、なんかよくわかんないけど、世
    界に対して謝んなきゃいけなくて、とりあえず一回謝っとけば、後ろから刺されなく
    なったよっていう。
空虹桜とりあえずきょうはねむれそう※11
U・B>どっちみち、これはせつない。
空虹桜>無常感漂うでもいい感じだよねぇ。さて、最後の11曲目は「泥の舟」っていうやるせなさ
U・B>やるせないんッスよねぇ。しかも、この曲がね、ライヴで聴いたらものっそいい曲なんですよ。
空虹桜>歌詞見たら崩れ始めた帆先に 新しい泥を塗る オールは握っているかい 手を離しちゃ
    いけないよ※12)だもんね。
U・B>さっきの流れでいけば、空虹さんの解釈だとそうやって人間関係は塗り直して保たせてくんだよって教
    訓談になるだろうし、俺の解釈でいけば、この国が沈まないためには応急処置をひたすら続けるしか
    ないけど、まだ諦めちゃいけないよ※13)っていう、ある種、悟りの境地みたいな曲になる。
空虹桜>そゆ意味では、下岡晃って人の曲は、諦めの向こうを唄ってる感じがあるんだよね。
U・B>真っ当なニヒリズムというかね。(※14
空虹桜>そうだね。ずっとプロテストソング(※15)とかなんとか言ってたけど、ニヒリズムソングみたいなポジションの方が、理解と
    しては据わりがいい感じだ。
U・B>たしかにそうかもしんないッスね。自分で喋っててビックリ。
空虹桜>さて、締めてください。
U・B>正直、このアルバム、好きか嫌いかで言えば好きなんだけど、大好きかって言われるとそこまでじゃない
空虹桜>待て。
U・B>けど、聴いてる分には凄い居心地が良くて、でもって、考え込んじゃう。その感じがアナログフィッシュっぽ
    なぁと思うし、今聴く音楽だよなぁと。
空虹桜>そゆ音楽が、将来どのように聴かれるのか?ってのは興味あるなぁ。
U・B>はいはい。未来を意識して作られた音楽だとは思ってないんだけど、きっと、発掘される音楽だとは思うんです
    よ。アナログフィッシュって。(※16


※1 アナログフィッシュ:1999年に結成の下北系ギターロックバンド。長野県下伊那郡喬木村出身の下岡晃(Gt&Vo)と佐々木健太郎(Ba&Vo)に、斉藤州一郎(Dr)を加えた3ピースバンド。
※2 拡大部は歌詞より引用。
※3 拡大部は歌詞より引用。
※4 拡大部は歌詞より引用。
※5 オカヤスシズエ:下北系ロックバンドKETTLESのドラム&ヴォーカルの人。U・Bが大好きなバンドのひとつ。おそらくその内、クロスフェーダでネタにする。
※6 拡大部は歌詞より引用。
※7 下岡曲:※1記載の通り、アナログフィッシュのギターヴォーカルこと、ニット帽の人が書いた曲。
※8 直前の拡大部は歌詞より引用。
※9 拡大部は歌詞より引用。
※10 拡大部は歌詞より引用。
※11 拡大部は歌詞より引用。
※12 拡大部は歌詞より引用。
※13 「まだ諦めちゃいけないよ」だけ、歌詞より引用。
※14 ニヒリズム:日本語で言うと虚無主義。Wikipediaによると、「この世界、特に過去および現在における人間の存在には意義、目的、理解できるような真理、本質的な価値などがないと主張する哲学的な立場」だそうな。
※15 プロテストソング:Wikipediaによると、「政治的抗議のメッセージを含む歌の総称」だそうな。
※16 空虹38行。U・B44行で、もちろん、の負け。一通りアナログフィッシュを話し終えたので、次回のU・B回は久々THEイナズマ戦隊を話します。


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