空虹桜>こないだ、某小沢健二がミュージックステーション出た(※1)際、久々にHALCAだけだけどTVに出たけどさほど話題にならなか
った、HALCALI(※2)のアルバム「サイボーグ俺達」(Amazon / iTS)を語る前編です。
U・B>HALCALI話のイントロは、どうしてこう毎回disからはじまりますかね?
空虹桜>なにも嘘は吐いてはないですよ。
U・B>嘘吐かなけりゃいいって話じゃないですけど、まずは1曲目「Doo THE HAMMER!」
空虹桜>久々に聴き返してて、ああ、こんな曲あったわ!ってのが素直な感想。
U・B>酷いけど、たしかにその感慨、ちょいちょいある。
空虹桜>ぶっちゃけさ、いいだけ音楽聴いてると、本気で刺さらないと覚えてられないじ
ゃない。
U・B>うん。でも、それ、ブーメランですよ(※3)
空虹桜>わかってるし、流行り言葉的な「刺さる」の用法は、正直、好きではないんだけど、それだけ人
口に膾炙した表現だよね。
U・B>だいぶなかなか支離滅裂な感じですけど?とりあえず、俺的にはDr.kyOnの作詞作曲を嫌いになれるハズがな
い(※4)
空虹桜>U・Bさん大好きな鍵盤モノだしね。
U・B>ぶっちゃけ、イントロだけですけどね。
空虹桜>アタシ的にはほぼアウトロの瞬間の咆哮 マシンガン濃厚 心の中のCoup d'etat Do The
Hammer・・・・・ HAMMER!!(※5)が最高。
U・B>クーデターなんて、心の中で充分ですよ。
空虹桜>起こそうと思ったら共謀罪を潜り抜けなきゃいけないしね(※6)
U・B>そゆ意味では、クーデター前提で国家が形成されてるタイ王国の柔軟さ(※7)ったら!
空虹桜>なにせ、東アジアで植民地支配されてないのはタイと日本だけだからね。
U・B>GHQ支配は除くんですけどね(※8)
空虹桜>なんか、シビアな発言。
U・B>右も左も厳密さが極めて都合が良すぎなんですよ。
空虹桜>えっと・・・本題と関係ないので2曲目「It's PARTY TIME!」は、発表直後から話題になったとおり、彼の↑THE HIGH-
LOWS↓「日曜日よりの使者」のサンプリング(※9)
U・B>最高ですね。
空虹桜>あっ、そうなんだ。
U・B>言うても、俺がヒロト信者じゃ無いからカモしれない(※10)
空虹桜>そうなの?むしろ、アンタの書くレポ(※11)とか読んでたら、ヒロト大好きだと思ってた。
U・B>ガチの人と比べたら、オイラなんてハナクソずら。
空虹桜>ヲタク心理だ。アタシの仲のいい人だと、脳内亭さん(※12)とかに対してだ。
U・B>リアルに仲の良いライヴ友達のアラフィフがいる(※13)んだけど、そゆ人たちはちゃんと、ブルーハーツの洗礼を
浴びてるんですよ(※14)
空虹桜>ああ。なんとなく言わんとしたいことの察しが付いた。
U・B>結局のところ、好きだ好きだ言うても、空虹さんの心根にあるフレーズ引用するなら、心のベストテン第一位じゃな
いんですよ(※15)
空虹桜>ああ・・・なるほど。
U・B>個人的には手を伸ばして〜 声を出して〜 カッコ悪くていーじゃん!いーじゃん!より、
手を繋いで〜 足鳴らして〜 カッコつけても、いーじゃん!いーじゃん!(※16)と、
残念な人が酷い格好つけをしても許される感じが有り難いッス。
空虹桜>ホントに残念だ。
U・B>残念でも生きなきゃなんないッスから。さて、3曲目は「恋のブブブン」は作詞作曲VERBAL!(※17)
空虹桜>VERBALって、名前がすでにシャレオツにしか聞こえないという。
U・B>ある種の病。
空虹桜>歌詞的には、ほぼなにも言ってないんだけどね。
U・B>言ってないッスなぁ。でも、なにも言ってないからこそヒップホップっぽいという偏見もある。
空虹桜>「重たいこと言わなきゃヒップホップとしてダメ」的な価値感って、たしかに古臭い。
U・B>おしゃれな感じのメロディに中身の無いリリックって、実際問題、ポストモダン的なんじゃないッスかね?
空虹桜>まさかの「ポストモダン」
U・B>悪いか。じゃあいいや、終盤ハスキィというかウィスパーな感じでコーラス入るとこが滅茶苦茶好きです!4曲目は
「Twinkle Star」
空虹桜>もういかにもO.T.F(※18)の仕事。
U・B>だすな。元ネタとか全然わからない人なんですけど、ブレイクしてから入るホーンのサンプリングとか、もう無駄にスケール感あっ
て、下らないなぁ〜!っていう。
空虹桜>もともと、その手の遊びをするためのグループだし。しかもさ、メイクもネイルもキメるよいつもより 特
別な今日はベストコンディションで ギンギラギンにさりげなく 毎日がinteresting
ありえなくないよ しばらく ケータイは置いといて 膨らます 真空パックする思い
出(※19)みたいなフレーズを、20歳凸凹ぐらいの女の子が楽しくラップしてるわけ。
U・B>刹那で楽しそう!
空虹桜>ねぇ。その薄っぺらいっちゃ薄っぺらいんだけど、無闇に憧れる感じってのが、たぶんTOKYO Kawaiiとかの本質だと
思うんだよね。
U・B>薄っぺらくてなにが悪いというか。
空虹桜>そもそも、厚さとか興味無いし。
U・B>でも、コンドームは薄い方がいいんですよね?
空虹桜>唐突に下衆いこと言うなぁ・・・
U・B>言えた感を帳消しにするのも仕事の一つですから。さて、5曲目は「endless lover's rain」で、いい曲だよなぁ思っ
たらNathalie Wiseの仕事!(※20)
空虹桜>ラップパートのフレーズワークがモロBIKKE(※21)
U・B>逢える時も 逢えない時も 大切にしたかったのに 今日のため未来のために 大事に
したかったのに 過ごした時間は あれほど 沢山あったはずなのに 思い出す時間
は アッという間に ホラ終わってしまう(※22)とかね。もう最高!
空虹桜>人間としてはアレだけど、BIKKEのリリシズムは、女性ヴォーカルだと映えるよねぇ。
U・B>だと思います。男臭い曲も良いんですけど、俊美(※23)パートともども、ソウルセットは女性ヴォーカルが唄
うと最高なんですよ。
空虹桜>なんだかんだ言って、感情の人たちだからね。
U・B>そうですね。そうですね。だから、余計にソウルセット好きなのかもしれないッスね。俺。さて、今回最後の6曲目は「LOOK
[Special Edition]」
空虹桜>今回聴き返してて驚いたんだけど、この曲滅茶苦茶好き。
U・B>おお。珍しく絶賛。
空虹桜>本人たちが作詞してるからってのもあるかもしれないけど、目を閉じて浮かぶ世界 私だけのものよ ねぇ
あたしらしくしたいの 欲しいものは全部ちょうだい! 重いものは持てないわ でも
心は全部持っていけるのよ もう知らない事は 知らないまんまがいいの!(※24)って、
もうホント最高。この瞬間のこの娘たちにこんなフレーズ唱わせたら無敵でしょ。
U・B>たしかに、「何者でもない自分を見つけられたい」的なのって、昔はフォークの独擅場だったのが、今だとヒップホップの占有地
になった気はする。
空虹桜>アレだけ売れた女の子たちでも、そこら辺の娘と同じような感慨を抱いてるって、今が苦しい子たちはちゃんと知
っといた方がいいし、「LOOK」とタイトル付けてまでして、見つけられたいとアピって良いと知っておい
た方がいいと思う。
U・B>悪目立ちだと後ろ指指されても構わない?
空虹桜>うん。21世紀になってとくに勘違いしがちだけど、人間一人と比較すれば世界はとてつもなく広いんだよ。光の速度でだって、宇
宙の端に届くまで億年かかるんだよ。
U・B>極論だけど、たしかに。
空虹桜>そんな中、ちっぽけな短い人生生きるしかないんだから、だったら他人なんて気にせず生きとけ!って話で、この
曲は瞬間の生きてる感が目一杯詰まっていて良いなぁと。(※25)
※1 某小沢健二がミュージックステーション出た:2017/2/24出演。
※2 HALCALI:「HALCA」と「YUCALI」を合わせたユニット名でお馴染みの2人組ヒップホップユニット。2012年頃に所属事務所やレコード会社と契約をすべて終了した。
※3 ブーメラン:オーストラリアのアボリジニが狩猟や儀式などに使っていたものが有名だけど、ここでは自分の行いが悪い形で返って来るという比喩表現。
※4 Dr.kyOn:1995年に解散した日本のロックバンドBO GUMBOS(ボ・ガンボス)のキィボーディスト川上恭生の愛称。
※5 拡大部は歌詞より引用。
※6 共謀罪:2017/6/15未明の衆院本会議にて可決・成立した「組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案」(共謀罪の構成要件を改め「テロ等準備罪」を創設する改正組織犯罪処罰法)の愛称。
※7 タイ王国:定期的にクーデターが起きてるので、詳しくはWikipediaで!
※8 GHQ支配は除く:東アジアで独立国家であり続けたのは、日本とタイだけだって俗説をたまに見かけるけど、GHPに占領されてたんだから、独立国家じゃねぇーだろうよ。というのがU・Bの理解。
※9 ↑THE HIGH-LOWS↓「日曜日よりの使者」のサンプリング:皆まで言わずとも、まぁ、「日曜日よりの使者」を見て聴きたまえ。
※10 ヒロト:THE BLUE HEARTSであり、↑THE HIGH-LOWS↓であり、ザ・クロマニヨンズのヴォーカルにしてフロントマン、甲本ヒロトのこと。
※11 アンタの書くレポ:お暇な人はここらをご覧ください。
※12 脳内亭さん:空虹さんのお友達の人。
※13 リアルに仲の良いライヴ友達のアラフィフがいる:2017年時点で。
※14 ブルーハーツ:※14の友達が一番好きな曲は、たしか「月の爆撃機」
※15 心のベストテン第一位:ご承知の通り「今夜はブギー・バック」の一節。
※16 拡大部は歌詞より引用。
※17 VERBAL:m-floのMCにして、まさかの三代目 J Soul Brothersのライブ出演のため函館から札幌に向かう途中、同乗していた車の交通事故により肋骨骨折、肺挫傷など全治2・3カ月の怪我を負った人。
※18 O.T.F:RIP SLYMEのRYO-ZとDJ FUMIYAによるプロデュースユニット。「オシャレ・トラック・ファクトリー」の略。
※19 拡大部は歌詞より引用。
※20 Nathalie Wise:TOKYO No.1 SOUL SETのBIKKEとアンダーカレントの斉藤哲也、高野寛の3人が2000年に結成したバンド。「raise hands high」は、眠りたい時に聴くアルバムNo.1。
※21 BIKKE:TOKYO No.1 SOUL SETのヴォーカルというかMCというかの宮本謙市。「Let's天才てれびくん」のだんきち。
※22 拡大部は歌詞より引用。
※23 俊美:気がつけば、お弁当の人として有名なTOKYO No.1 SOUL SETのギター&ヴォーカル。
※24 拡大部は歌詞より引用。
※25 空虹桜50行(!)U・B46行で、辛うじて俺の勝ち。表題曲が出てきてないのにここまで喋るか!といった。