第905回 ビー・マイ・ケトル(前編)

U・B>スキカウのアルバムがもうすぐ出る(※1)んですけど、その隙というかで話したいバンドはなんだろなぁ。と考えたら
    KETTLES※2)の話がしたいなと。ってことで、まずは1stアルバムの「ビー・マイ・ケトル」(CD / MP3 /
    iTS)を語る前半です。
空虹桜>えーと、全13曲ってことは、前半7曲で良い?
U・B>良いです。まずは1曲目「つまんないから」で、この曲名からしてこのバンドの唄いたいことをウマいこと表現してると思
    うんですけど、そもそも、2ピースでギターとドラムだけの編成って感じの音じゃないじゃないですか!
空虹桜>日本語無茶苦茶だし。
U・B>まだこの時点ではオカヤスシズエ(※3)のコーラスが今ひとつだとは素直に思うんですけど、ノイジィなギターにロッ
    クなドラムが乗っかって、こんな毎日が当たり前なんて 願っていてもつまんないから※4)なん
    て唄うのは、俺の好きなロックだ!って、自然に口しちゃうじゃないですか。
空虹桜>知らんって。2曲目「気にしてばっかり」で、隣の芝生は青いと。
U・B>端的に言うとね。このアルバムは、基本1曲3分あるかないかぐらいなので、サクッと聴けるのだけど、それは手軽という
    よりも、1曲に1つずつ、シンプルに唄ってる結果だと思うんです。実際、MV※5)なんかも単純で手ブレがキツい
    んだけど、よく練られていて、わかる人には評価される感じ
空虹桜>さり気に「俺わかる人ですから」発言。
U・B>っていうか、もっと皆わかってくださいよ!っていう。基本多数派に与しない人の俺が言うのもなんですけど、
    のバンドいいバンドだよ!
空虹桜>安直な。
U・B>だって、生まれたときに決まってしまった みんなのことがうらやましくなる※6)なんて
    だしから最高じゃないですか。完全に責任転嫁してる。
空虹桜>それが「最高」って言う人間性がどうなの?
U・B諦念ですよ。諦念
空虹桜>そうなのか?いいや。次、今回のアルバムで一番長い5分越えの「夢の中まで」はPOLYSICSハヤシ(※7)プロデュース。
U・B>UK PROJECT(※8)力発揮ですよ。
空虹桜>曲の大半オーオー言ってるだけっていうあたりに、ハヤシらしさが見え隠れしてるし。
U・B>まぁ、それも無きにしもですが、やっぱりMVで映ってるコイケヤスオ(※9)の部屋に、ちゃんとラフロイグのボトル(※10)が
    あって、タバコ吸ってるのはアレだけど、ヤだ。わかってんじゃん!って感じになるじゃないですか。
空虹桜>そこなんだ。
U・Bラフロイグ好きなヤツに悪いヤツはいない
空虹桜>断言した。
U・B>とりあえずもう、オーオー言ってるところで右手の握り拳を掲げればいいんですよ。話は
    それからだ
空虹桜>なんか今回テンション高いね。次、4曲目の「ELEPHANT STONE」はTHE STONE ROSES(※11)の日本語カヴァ。
U・B>皆大好きイアン・ブラウンとジョン・スクワイア(※12)ですけど、英語出来る子じゃないので感覚的な話でですが、どうで
    もいいや 今日は 忘れたい 今は※13)みたいなフレーズは、結構うまいこと訳してるんじゃないですか?
空虹桜>つか、「ELEPHANT STONE」ってどゆ意味?
U・B>知らん。ググったら、Yahoo!知恵袋が出てきましたよ。まったく。
空虹桜>おおっ。なるほど。とりあえずもう、現実逃避したいですよと。
U・B>現実逃避したいですよ。ホント死にてぇとしか思わんですよ。
空虹桜またなんかあったの?
U・B>またとか言うな。またとか。次、5曲目がちょっと変化球な感じの「デビル・ハート」で、言われてみればfeaturing マー
    ヤ&リンダdadaのN’夙川BOYSコンビ(※14
空虹桜>良くも悪くも、凄いダラダラしてる感じ
U・B>この組み合わせもUK PROJECT力だけども、バンドの色が似てるんだよね。たしかに。演奏力はKETTLESのがもちろん上だけど、
    ダメ人間でも音楽が好きならいいじゃんっていう。
空虹桜>身も蓋もない。とりあえず、アタシはデビル・ハート!って歌詞がtoo heart !にしか聴こえなくて、意味わからんな
    ぁと。
U・B>たしかに聴こえますけど、この曲はやっぱりユルいドラムと、最後の「サンキュー!」ですよ。やっぱり(※15
空虹桜>6曲目が「扉ない」で、街の真ん中に閉じこもる※16)ってワンフレーズが面白い。
U・B>そりゃ、扉なんかないよ!っていう。
空虹桜>それもあるけど、集団の中にいた方が孤立を味わえるっていう、実感の問題だと思うんだよね。街の中の方
    が孤立できるし、Webの中の方が孤独だっていう
U・B>ちょっとした矛盾のように見えるけど、相対的にダメージがでかいと。
空虹桜>初めから扉なんてないんだけど、開ければどこかにつながってるっていう盲信があって、そんなことわかってるよ!っていう。
U・B>だから、基本的に唄ってることはピーズの系譜(※17)なんですよね。その上で、今回最後の7曲目「コレクション」なん
    て聴いてると、全然今の子なのに貪欲で、何よりも大切な 手に入れるその気分 まだまだ足りない
    まだまだ足りない※18)だなんて唄ってる。
空虹桜>存外そんなもんだよね。諦められることはスパッと諦めるけど、諦めたくないことに対する執念というか未練
    が尋常じゃない
U・B>今の子の方が圧倒的に集中力があるというか、曖昧さがない。
空虹桜>清々しくはあるけど、面白みには欠けるというか、淡泊ではある。
U・B>どっちがいい悪いではないですけどね。実際、今の子の方がいろいろ結果出してるわけだし。
空虹桜>もちろん、時代背景だってあるけれど、それも含めて、今の子の方が基本的に上スペックだよね。
U・B>ええ。だいぶ話逸れちゃいましたけど、アルバム1枚に必ず1曲キラーチューンが入ってて、このアルバムでは「夢の中まで」なん
    だけど、しょーもないフレーズなのに頭グルグル回る感じは、一回聴くと病みつきですよ。マヂで。(※19


※1 スキカウのアルバム:12/6に「成人向け」発売!
※2 KETTLES:2008年夏、結成。コイケヤスオ(Gt/Vo)とオカヤスシズエ(Dr/Vo)による男女2人組ロックンロールデュオ。
※3 オカヤスシズエ:※2記載の通り、KETTLESのドラム兼ヴォーカル。
※4 拡大部は歌詞より引用。
※5 MV:ミュージックヴィデオの略。
※6 拡大部は歌詞より引用。
※7 POLYSICSハヤシ:日本のニューウェーブバンドPOLYSICSのヴォーカル兼フロントマンのこと。
※8 UK PROJECT:日本のレコード会社、兼、芸能事務所、兼、音楽出版社。大手インディーズバンド事務所のイメージ。
※9 コイケヤスオ:※2記載の通り、KETTLESのギター兼ヴォーカル。
※10 ラフロイグのボトル:僕らが大好きなシングルモルト・スコッチ・ウィスキィ。ビーム・サントリーが保有するのが何気に切ない。
※11 THE STONE ROSES:イギリスのロックバンド。1983年にマンチェスターにて結成され、2011/10/18に再結成した。ほとんど知らずに眠気と争ってU・Bもソニマニ見に行ったのは遠い昔・・・
※12 イアン・ブラウンとジョン・スクワイア:※11に登場したTHE STONE ROSESのフロントマン2人。
※13 拡大部は歌詞より引用。
※14 マーヤ&リンダdadaのN’夙川BOYSコンビ:現在絶賛活動休止中のロックバンドN’夙川BOYSコンビの内、KING BROTHERSのフロントマンでもあるマーヤLOVEとトップモデルでもあるリンダdadaの2人で、ひっそり活動中。
※15 サンキュー!:N’夙川BOYSの決め台詞。
※16 拡大部は歌詞より引用。
※17 ピーズの系譜:僕らが大好きなロックバンド、Theピーズに連なるバンドだというのがKETTLESに対するU・Bの評価です。
※18 拡大部は歌詞より引用。
※19 空虹25行。U・B40行で、の負け。次のU・B回は、たぶんスキカウの新譜の話をするので、「ビー・マイ・ケトル」の続きは年明けかな・・・


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