第910回 TOKYO GROOVE [Disc 1](前編)

空虹桜HALCALI※1)の2枚組アルバム「TOKYO GROOVE」(Amazon / iTS)を語る前編です。
U・B>1枚につき8曲入ってるんで2回に分けます
空虹桜>えっ?そうなの?
U・B>アレ?言わなかったっけ?8曲一気にやるのは結構しんどいッスよ。
空虹桜>たしかにね・・・
U・B>なわけで、1曲目「Long Kiss Good Bye」で、「NARUTO -ナルト- 疾風伝」エンディングテーマ(※2
空虹桜レイモンド・チャンドラーはThe Long Goodbye!※3
U・B>なに間の抜けた発言。
空虹桜>いや、久々にこの曲聴いた時、チャンドラーのなんだっけなぁ思ったんで。
U・B>素晴らしく中身無いなぁ。ちなみに、私なりに『愛されたい』 溢れるのに 君が見えない 二度
    と君に会えない そんな気がするんだ...※4)ってね、正しく去年の夏の出来事ですから厭
    になりますよ!
空虹桜なんの話だ!この曲のキモは目黒川(※5)にありそうだけど、一番は歌詞中に「キス」の一言が出てこな
    いこと
U・B>ああ。たしかに。
空虹桜>北浦正尚(※6)って人をよく知らないんだけど、そゆ人を投入して唄わせたかった20代の曲がこれって、結構面白い。
U・B>俺も北浦正尚はよく知らんですが、どの辺が面白いん?
空虹桜>凄いステレオタイプに色恋を唄わせてるんだけど、「ヒマ潰し程度の恋」のワンフレーズでHALCALIに唄
    わせる意義を出してる。
U・B>意義ですか?
空虹桜>正直、今聴くとステレオタイプすぎてつまらないんだよ。キャッキャ遊んでた女の子が大人になって、好みでない男をいつの間に
    か好きになるとか、安い男の妄想じゃん。
U・B>うわぁー。言われ方が酷い。安くてもいいから、そうして愛されたいですよ
空虹桜>残念だ。
U・B残念で構わんです
空虹桜>その安さみたいなモノは、HALCALIらしさから遠いんだけど、さっきも引用したけど「ヒマ潰し程度の恋」のワンフレ
    ーズで、強引にHALCALIらしさへ引き寄せるっていう。
U・B>ほう。ちょっとした豪快な解釈。じゃあ、2曲目「カミナリ・GIRL」で、またもやアイゴンプロデュース!(※7
空虹桜>1曲目の「Long Kiss Good Bye」と比べるとこっちのがHALCALIっぽい。
U・B>HipHopの人たちのハズなのにロックがあうっていう。
空虹桜>ロックっていうか、こゆ音楽があうんだよね。
U・B>でしょうね。東京生まれの東京育ちが作る東京の音楽が似合う
空虹桜>ね。予備知識的な偏見があるにせよ、納得感というか、説得させられるんだよね。「東京の音楽」だという事実に。
U・B>空虹さん的には、渋谷系大好きな人じゃないですか(※8
空虹桜>なにを改まって。
U・B>そこに「東京アコガレ」って含まれてますか?
空虹桜>ああ・・・それは無いわ。
U・B>断言できる?
空虹桜>できる。でもって、気持ち悪い言い方をするなら、やっぱり東京に流れ着いてしまった感がある。
U・B>はいはい。たしかに気持ち悪い言い方。たぶん、潜在的にお洒落なモノに対する田舎者コンプレックスがあると信
    じてるんですよ。
空虹桜>信じてるんだ。
U・B>空虹さんが最近使いたがる言い回しを借用するとね。で、アイゴンにしろHALCALIにしろ、そのコンプレックスを的確に突いてく
    るように感じるんだけど、これが3曲目の「まばたき」になると、たしかにポップだけど、コンプレックスを刺激
    はされない
空虹桜>う〜ん、微妙なとこだなぁ。
U・B>もちろん、スネオヘアーになかなか縁がない人生だからかもしれないですが(※9
空虹桜>なんだそれ。
U・B>ちなみに、今職場に、スゲェ、スネ夫(※10)似の人いるんですよ。
空虹桜だからなんの話だ!っての。
U・B>なんだろ?スネ夫って、ある種、地方から見た東京の象徴みたいなキャラだと思うんですよね。
空虹桜>まさか、ちゃんと話をつなげてくるとは。
U・B>だからってわけじゃないけど、この曲とか、東京になりきろうとしてなりきれない感みたいのを感じて。
空虹桜>わからん。
U・B甘すぎるスイーツ 食べ残して 退屈するのもまるで平気よ 昨日と違う空があって
    たまに見上げたらちょっといい感じとかアンタなんか大嫌いの反対だよ そばにいてね
    (※11)みたいな歌詞に、後で振り返ると恥ずかしくね?っていう。
空虹桜>雰囲気はわからないじゃないけどなぁ・・・
U・B>そこから今回最後の4曲目「YES」がVERBALプロデュース(※12)じゃないですか。
空虹桜>その解釈だと、ザ・東京みたいな。
U・B>とはいえ、VERBALらしい強烈さはそこまで無い曲ですけどね。
空虹桜>っていうか、これ、思いっきりSEXの曲だもんね。
U・B>えっ?自分勝手で返事がロクに返ってこない男に嫌気差してる曲じゃないですか?
空虹桜>まぁ、そうなんだけどさぁ、ここでの「YES」は「YES! YES!」喘がせたいんでしょ?って話なわけじゃん。
U・B>まさかの。
空虹桜>それは男の勝手な欲情で、こっちは気持ちとか感情とかの交換としてSEXがしたいのにって曲なんだよ。
U・B>だとすると・・・六本木?
空虹桜>カモね。だからちょっとだけ、HALCALIが唄うには違和感があって、今ひとつこの曲がハマる感じしないんだよね。(※13


※1 HALCALI:「HALCA」と「YUCALI」を合わせたユニット名でお馴染みの2人組ヒップホップユニット。2012年頃に所属事務所やレコード会社と契約をすべて終了した。
※2 NARUTO -ナルト- 疾風伝:岸本斉史の漫画『NARUTO -ナルト-』を原作とするテレビアニメであり、前作『NARUTO -ナルト-』の続編。岸本斉史は結局、NARTO描くだけの人生になってしまったなぁ・・・
※3 レイモンド・チャンドラーはThe Long Goodbye!:レイモンド・チャンドラーはアメリカの小説家。彼が生み出した主人公フィリップ・マーロウはハードボイルド系「私立探偵」の代名詞とされており、小説「The Long Goodbye(邦題:長いお別れ)」の主人公でもある。
※4 拡大部は歌詞より引用。
※5 目黒川:目黒川(めぐろがわ)は、東京都世田谷区、目黒区および品川区を流れ東京湾に注ぐ二級水系の本流!花見のメッカ。
※6 北浦正尚:日本の作曲家。以前はGIZA studioに所属していたが、本格的に作曲家活動をしているそうな。
※7 アイゴン:東京都出身のミュージシャン、音楽プロデューサーである、會田茂一の愛称。
※8 渋谷系大好きな人:東京・渋谷(渋谷区宇田川町界隈)を発信地として1990年代に流行した日本のポピュラー音楽(J-POP)の一部の傾向を分類化したものであり、明確な定義が存在しない。
※9 スネオヘアーになかなか縁がない人生:日本のミュージシャン、渡辺健二の一人ユニット名がスネオヘアー。ともさかりえと2016年末に離婚したことで有名。
※10 スネ夫:骨川さんちのスネちゃまのこと。2月生まれ。
※11 拡大部は歌詞より引用。
※12 VERBAL:日本のMC、DJ、音楽プロデューサ。皆大好きm-floの中の人。
※13 空虹桜33行。U・B35行での負け。なんだか変な方向に話が転がってますが、続きます。


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