空虹桜>HALCALI(※1)の2枚組アルバム「TOKYO GROOVE」(Amazon / iTS)のDISC 2はカヴァ曲集!
U・B>ラップの人たちが、ラップ以外の曲をカヴァするって、わりと珍しいよね!ってところで、1曲目からまさかの矢井田瞳(※2)
「My Sweet Darlin'」
空虹桜>さらにまさかで、矢井田瞳本人がコーラス。
U・B>なんッスかね?この、いろいろあってるのに間違ってる感じ。
空虹桜>にもかかわらず、サビでDarlin,Darlin' ここに来て 見えるでしょう 私が(※3)を、カラオケノリで叫びた
くなる感じね。
U・B>原曲2000年発売ですから、正しくカラオケ世代らしいリアクションですよ。
空虹桜>この曲聴いてると、ホントキャッチィなサビって大事だなぁって思うもんね。
U・B>それな。売れるにあたって重要なのはやっぱりサビです。イントロからサビまでの過程で、どれだけアげられるかがす
べてです。その真骨頂みたいなのが2曲目「今夜はブギー・バック」
空虹桜>いや、HALCALIカヴァヴァージョンはヴォーカルパートだけだから。サビしかない。
U・B>むしろ、怖いのはこのヴァージョンを川辺ヒロシが作ってることじゃないですか(※4)
空虹桜>コーラスが俊美とBIKKEとかね(※5)
U・B>ソウルセットらしい四つ打ち(※6)ではあるけど、お前らもラップせんのかい!っていう。
空虹桜>なんだそれ。つか、このトラックを聞き直すと、さっき否定気味で入ったけど、もともとCMソングだったわけじ
ゃない(※7)
U・B>そうですね。日産キューブ(※8)ですね。この頃の日産のTVCMはLB大好き感が溢れてましたね(※9)
空虹桜>そうそう。日産の広報か日産担当の広告代理店の人は、絶対12月のリキッドですれ違ってるに違いないって
いう(※10)
U・B>たしかに。
空虹桜>あの、異常なまでに中の人が絶対こっち側だから信頼できる感は、車買ってもいいかなぐらいな。
U・B>嘘吐け!とはいえ、CMからシングルのジャケ写までイヤミとチビ太(※11)っていう、間違いない感ね。
空虹桜>間違ってアタシが売れてさ(※12)、映画化とかされちゃった日には、こんなノリで遊びたいよね。
U・B>そうなったら、もう絶対俺に音響監督やらせてくださいよ。
空虹桜>いいよ。フックアップ精神全開で。
U・B>自分でお願いしといてなんですけど、なんて捕らぬ狸だ!さて、3曲目は「Re: やさしい気持ち -Album ver.-」で、ここ
まで2曲に比べれば、ちょっとラップ分多めだけど、もともと「やさしい気持ち」(※13)が超良曲だから、正直、そこに甘
えてるだけな感じはある。
空虹桜>まぁね。そゆ意味ではやっぱCHARA偉大だよ(※14)
U・B>たまにCHARAのライヴ見るじゃないですか、やっぱね、超いいの。
空虹桜>まだライヴ見てないんだよなぁ。
U・B>一回見といた方がいいですよ。ホント。さて、今回最後の4曲目は「愛のために」
空虹桜>PUFFY(※15)じゃないのに、この違和感の無さは凄いよね。
U・B>ああ。その解釈は正しいと思います。つまり、民生(※16)やPUFFYは言うても、ネイティヴなユルさに基軸があ
るんですよ。
空虹桜>おっと。なんか大それた解説がはじまったぞ。
U・B>そんな長々と喋る気ないから。
空虹桜>いいから続きを。
U・B>んと、民生やPUFFYのユルさは、ホントに生まれながらにしてだと思うんです。ただ、HALCALIのユルさって、目黒生まれの
目黒育ちだからこその余裕なんだと感じるんです。
空虹桜>赤平生まれの赤平育ちには余裕が無いと(※17)
U・B>そこまで本気で切り捨てる気は無いけど、じゃあ、東京っ子ほどの余裕があるか?って問われたら、
無いじゃないですか。
空虹桜>アタシの人生において、遊びはあってもゆとりは無いわ。
U・B>まるで名言かのごとくですけど、やっぱり、地方人には無いけど都会人にはある余裕みたいなのって、あるじゃないですか。
空虹桜>単なるコンプレックスなだけなんだろうけどね。
U・B>ええ。だからこそ、民生をカヴァしたら、思いの外良いマリアージュが生まれてるっていう。
空虹桜>ギャグでもなく「マリアージュ」って言える人間が、こんな近くにいると思わんかった。
U・B>ヒデェ言われよう。つかね、俺、数えるほどしかライヴで民生の「愛のために」聴けてないですけど、改めて聴くとここらへ
んで そろそろ僕が その花を咲かせましょう 愛のために あなたのために 引き受
けましょう(※18)の偉大さね。
空虹桜>いろんなことを諦めて、でも受け入れるみたいな。
U・B>んで、ちゃんと受け入れて引き受けた全部、ちゃんと持ってきますよっていう決意ね。ユルい人に見えたって、民生はやっ
ぱカッコいいですよ。サラリとちゃんと言い切れるんだから。
空虹桜>それをまた、HALCALIにカヴァさせるのって、ユルさと強かさみたいのが前面に出てて、ナイスチョイスではあるよね。
(※19)
※1 HALCALI:「HALCA」と「YUCALI」を合わせたユニット名でお馴染み、目黒生まれの目黒育ち2人組ヒップホップユニット。2012年頃に所属事務所やレコード会社と契約をすべて終了した。
※2 矢井田瞳:女性シンガソングライタ。最近、楽曲のリリースはすくないけど、地道に活動中で、いろいろ客演多め。
※3 拡大部は歌詞より引用。
※4 川辺ヒロシ:TOKYO No.1 SOUL SETのDJ。もしくは加藤紀子の旦那。
※5 俊美とBIKKE:TOKYO No.1 SOUL SETのギターヴォーカルが渡辺俊美で、ラップがBIKKEだ!
※6 ソウルセットらしい四つ打ち:TOKYO No.1 SOUL SETの楽曲は、四つ打ちというドラムのループと俊美のギターの絡み合いが聴き所。
※7 もともとCMソングだった:後述の通り、2009年、日産自動車・キューブのTVCMソングとしてお茶の間に現れた。
※8 日産キューブ:日産自動車が製造・発売しているトールワゴン。一時期、田舎の若い娘が乗る車はだいたいキューブだった気がする。
※9 LB:リトル・バード・ネイションは、スチャダラパー、Tokyo No.1 Soul Set、タケイグッドマン、シャシャミン、MATT TAKEI、かせきさいだぁ、ナイチョロ亀井、光嶋崇、脱線3、シンゴスター、スリーワンレングス、ナオヒロック&スズキスムース、四街道ネイチャー、JUDO、Kenny、サイプレス上野とロベルト吉野などが集うアーティスト集団です。
※10 12月のリキッド:スチャダラパーが12月の2週目ぐらいに、TOKYO No.1 SOUL SETが12/29にそれぞれ必ずライヴをする。
※11 イヤミとチビ太:↓
※12 間違ってアタシが売れてさ:このサイトの主役たる空虹さんは、最近目立った業績を残してないけど、それなりの評価を得たこともある、セミプロぐらいの物書きだったりする。
※13 やさしい気持ち:CHARAの14枚目のシングル。1997/4/23発売。上白石萌歌が2016/10に「午後の紅茶」のCMソングとしてカヴァしたことで、若者にも知られていたり。
※14 CHARA:日本のミュージシャン、女優、音楽プロデューサ。2009年に浅野忠信と協議離婚。上のYouTubeのPVは娘のSUMIREが出演。
※15 PUFFY:日本の女性ヴォーカルデュオ。メンバは大貫亜美と吉村由美。今の20代ぐらいのアメリカ人は皆知ってる「Hi Hi Puffy AmiYumi」の人たち。
※16 民生:皆大好き、奥田民生のこと。
※17 赤平生まれの赤平育ち:U・Bと空虹のこと。その前段に出てきた「目黒生まれの目黒育ち」はHALCALIのこと。
※18 拡大部は歌詞より引用。
※19 空虹桜26行。U・B31行で俺の負け。このところ、HALCALIレヴュは歌詞の引用がすくないなぁ。