U・B>北海道関連のお話をちょいちょい書いてる空虹さん(※1)が言い出すのは意外な感じのお題ですが。
空虹桜>ホントのホントなふるさとじゃなくて、あくまで括弧付きでの「ふるさと」ね。幻想としての「ふるさ
と」が嫌い。というか、実際のとこムカつく。
U・B>出た。ムカつく。むしろ、ムカつかないことの方がすくない人がよく言う。
空虹桜>幻想嫌いなんだよ。きっと。
U・B>また極端な。
空虹桜>だいたい「ふるさと」言いたがるヤツの中身フワフワなんだよ。気持ち良いのか、それとも、絵空事かでさ。っていうか、絵
空事でしかない。
U・B>もうちょい詳しく事例を聞きましょう。
空虹桜>「ふるさと」言うだけで、「善なるもの」として語られるのがムカつく。
U・B>それは「善なるもの」が嫌いなだけじゃなくて?
空虹桜>それはそれでその通りなんだけど、そもそも「善なるもの」として奉ろうとする感覚が嫌い。
U・B>ああ。やっぱりそっち行くんだ。
空虹桜>本当に「ふるさと」良かったですか?って訊きたくなるでしょ。
U・B>いい思い出も悪い思い出もあるハズで、いずれにせよ必死で記憶を美化してるだけだろうと。
空虹桜>そもそも、いい思い出とか美化とかって言い回しが腹立たしい。
U・B>また、極端なこと口走りましたね。
空虹桜>思い出にいいも悪いもないわけじゃん。それは単に主観的な感想に過ぎないし、美しさも同様。
U・B>ええ。我らがヒロト(※2)は言いました。「ドブネズミみたいに美しくありたい」(※3)と。
空虹桜>だとすると、「ふるさと」信仰みたいなものをしてる人は、ヒロト好きとしてはダメなわけじゃん。
U・B>それはちょっと極端ですけどね。ダブスタ上等(※4)ですし、実際に美しいと思ってる人たちはいるだ
ろうし。
空虹桜>そう。結局「美しさ」みたいな概念って、個人の主観でしかないんだよ。アタシは「クオリア」みたいな概念に
否定的なので余計なんだけど、社会学っぽく言うと、所詮「美しさ」なんて「ラベル」に過ぎない。
U・B>しかして、それも個人的な考え方というか、立場でしかない。
空虹桜>うん。そう。無闇に一般化して、当然の考え方として提示されるのが本当に嫌いだし、二階堂奥歯
(※5)じゃないけど、アタシは価値観についての会話を「アタシ」と括弧付きにできない人た
ちを全面的に信用しないし、嘘吐きだと思ってる。
U・B>かなり強硬に切り捨てますね。
空虹桜>もしかしたら、アタシはアタシに自信が無いだけなのかもしれないけれど、過剰に自信があるヤツらっ
て、だいたいウザいじゃん。
U・B>また話が波及する。
空虹桜>「ふるさと」みたいな言葉に潜在する気持ち悪さが、極々当たり前として許容される感じに吐き気をもよおすって、別に
変な話だとは思ってなくて、疑問を抱くことこそが、流行り言葉で言う「ダイバーシティ」なハズだ
けど、どうして知らないフリするのかがよくわからない。(※6)
※1 北海道関連のお話をちょいちょい書いてる空虹さん:空虹さんは500文字以下の短い物語を書く人なのです。んで、書いた北海道関連の話はたぶん、こっち見てもらう方が早い。
※2 ヒロト:もちろん、岡山が生んだロックスター甲本ヒロトのこと。
※3 拡大部はご存じ、THE BLUE HEARTS「リンダリンダ」からの引用。
※4 ダブスタ:ダブルスタンダードの略。一言一言を真に受けるなよ!っていう。
※5 二階堂奥歯:編集者。「八本脚の蝶」の人。故人。
※6 空虹21行。U・B14行で、俺の負け。ガチで田舎者だから余計に腹が立つんじゃないかという気もしますけど、一面だけで話のは嘘ですよね。ってことですわな。