午前3時の相対論
この時間はトラックさえも通らないから、歩くのに丁度いい。
わずか一歩なのに、気温も気圧も闇の濃さも異なる。
心が弱ったと思ったら、わたしはこのトンネルを歩く。
闇はナトリウムランプのボンヤリとしたオレンヂ色に攪拌されている。
スニーカの底が擦れる音だけが、木霊になって耳に届く。
怖くないと言えば嘘になる。「出た」とも「見た」とも聞いたことはないけど。
ひんやり淀んだ空気。距離も時間も前後を消失していくような、漠然とした感慨。
だから、退くこともできない。見える方へ進むしかない。
遠ざかろうとも。
第1回「
超短編のパトロン
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