ブルース 〜 ブルーの構図のブルース

 どうしようもなく詰まらない試合が続き、俄然、興味は失われたのだけど、いざ「今年はW杯イヤー」とメディアに取り上げられ、DAZNの通知が届くと見てしまう。
 ミーハー。
 その通りだけど、地球の文明下ではミーハー搾取をビジネスと呼ぶ。下衆な言い方すれば。100年変わらぬ資本主義。
 スタメンの大半は海外組で、スタジアムで見ない選手ばかりになって久しい。ドキドキはするけど、ワクワクはしない。贔屓のクラブ出身選手が数人ベンチに座っている。誰が出ても同じ試合なら、そっち出せよ! と、心から思う。
 百姓の血族としては「SAMURAI」とか鼻白む。武力コンプレックスを駆動装置にするマチズモというか、貴族主義にしか見えない。ああ。だから、欧州組が優先して試合に出るのか。いや。贔屓が怪我するよりマシか。ちぇっ
 とか考えてるのに、ゴール決まって思わずガッツポーズしてしまう。そうだよ。最終予選の初戦は負けた方が、残りの試合が面白いんだよ!
 これがエゴでなくてなんなのだ?
 しゃーない。エゴのためなら、ナショナリズムもSAMURAIも詰まらない試合も、全部ひっくるめて愛してやるぜ。

超短編 500文字の心臓
第186回競作「ブルース」未公開作

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