チョコ痕
暖まってないから、あなたが甘噛みすると乳首が取れた。
「ごめん」
「いいよ。あとで付けるから」
謝っておきながら、あなたは懲りずに乳房への口づけを繰り返す。
「甘い」
「嘘」
90%以上カカオなあたしが、甘いハズない。
「・・・そんなにしたら」
「柔らかくなってきた」
繰り返される口づけは、すこしずつ胸から下へ。
「たしかめる?」
意味を理解する間もなく攪拌されて、意識がボヤける。ぐちゃぐちゃ。音だけがハッキリ耳に届く。
「ホラ」
内側が融けていく。
「舐めて」
なにかが唇に触れる。
「・・・甘い」
カカオの匂い。あたしの匂い。
「嘘じゃないだろ?」
そう言うあなたの唇は、血に濡れたよう。
超短編 500文字の心臓
第65回競作「チョコ痕」参加作
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