共通点
このメッセージが届いたなら、あなたの周りにいる誰かも、あなたと同じようにこのメッセージを読んでいるに違いない。そういうシステムであり、神の思しべしだから。
今日という最後の日、それでも僕は信じることを諦めたくない。神の存在を諦めたくなるほど圧倒的な現実を目の当たりにして、
それでも、なお
。
試練にしては惨すぎる。確実な死を前にして、それでも神は忠誠を求めるのか?
正直、僕だってそう思う。でも、僕はこの信心を裏切ることができない。だって、今も神は常に僕と共にあって、僕と信仰は不可分だ。このメッセージを受け取ったあなたも、きっとそうに違いない。
言行を一致させねばならない。口だけではなく行動で。そう悟った時点で、飛行機を使ってもメッカには届かなかった。理屈ではわかっていても、信仰は僕を歩かせる。僕以外の誰かも祈りを唱えながら向かう。神のそばへと。
あなたも来てくれたらと、すこし思う。もちろん強制はしない。信仰は他者に評価されるものではない。このメッセージを読んでくれたあなたへなら、僕は幸福を祈れる。
あなたの魂を共に
。
超短編 500文字の心臓
第173回競作「共通点」投稿作
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