川を下る 〜 にぶい奴らのことなんか知らない

 昔から山の手には金持ちが住む。逆は貧乏人。国土に溢れる急峻な山からの流れは、大雨時に破壊力を増す。洪水が怖いのだ。治水こそが国力だったなんて忘れたフリで、大雨報道に嬉々とする。
 おかしな話だ。今の時代9割貧乏人なのに、なけなしの住宅ローンでウォーターフロントでドヤって茶番。
 金持ちぶってる成金にすらなれず醜い背比べ。肌の色で差別するのは低脳だからだが、富の差で差別するのは資本主義だから。知能が差別を招く。黒人の命が大事なように貧乏人の命だって大事だ。みんなみんな生きてるんだ。無能な二世三世は除く。
 水源も河口も金持ちと外国人が支配して残りがスラム。どんな世界も淡いに屑が打ち寄せる。金信者がデカい顔して国を動かしてるつもりだけど、神戸も女川も石巻も福島も熊本も厚真もすべて他人事だったから、当事者になったら醜態を取り繕えない。球磨川も飛騨川も忘れた。放射線だって目に見えない。預金口座の残高や株価に実体は無い。RTでやったた気。狭い国で逃げ切れず行き詰まる滑稽。
 架空な俺はケタケタ笑う。そうでもしなけりゃ流される。逆らい続ける。楽はしない。海は近い。

超短編 500文字の心臓
第177回競作「川を下る」投稿作

「にぶい奴らのことなんか知らない」from ECD

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