できごころ

「だから眼鏡かけろよ!とか、思わん?俺なら2割増しだもん」
「男ってみんなそゆもん?」
「知るか!他の男なんぞ知るか!いいんだよ。伊達でもいいから俺のために眼鏡かけてくれりゃ!」

 飲み友達と交わした昨夜の会話を思い出した、5階の眼鏡売場。手には既に小振りなフレーム。
「マニアックな層にモテてもなぁ」
 頭の中で給料日までを逆算する、鏡の中の自分。かけ心地は・・・悪くない。
「なにやってんだろ。わたし」
 言葉だけが不意に。そして、自覚。フレームを元に戻して、眼鏡売場を離れる。
 たぶん、今日はいい日だ。

超短編 500文字の心臓
第18回自由題 投稿作

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