出てって

 ああそうか。これが悋気なら嫉妬なら、このまま飲み込まれ、食らい尽くされてしまいたい。楽になれるだろう。直感する。もう苦しいのは嫌だ。もしくは苦しいだけの方がいい。狂おしく苦しい。貴方を独占することだけ考えて、食べることも寝ることすら考えたくない。考えない。どうしてそばにいてくれないの?あんなのといるの?笑ってくれないの?怒ってくれないの?気づいてくれないの?無視し続けるの?嫉ましい。わたしはいるのに。貴方のそばにいたいのに。貴方だけずっと。愛ってそうでしょ?わかってるんだから。倫理とか道徳とか良心だとか、心にも感情にも置いておく余地は無いし、今すぐ貴方を支配しきる力が欲しい。冷静さを排除し、客観を駆逐する。他にはなにもいらない。さみしくはない。貴方があればいい。生死は問わない。善良なるわたしの魂なんて事切れてしまえ。もしくは殲滅。最悪、放逐。愛してるから。

超短編 500文字の心臓
第158回競作「出てって」参加作を修正
Special thx まつじ

トップ > 空虹桜短編集 バージェス頁岩 > 出てって
空虹桜HP アノマロカリスBANNER
(C) Copyright SORANIJI Sakura,2017
e-mail bacteria@gennari.net