ドゥビドゥWhat?
「キてるねぇ。それ」
「だしょ。いかにも『ヤング・トラウマ』でさぁ」
空気を揺するだけの空っぽな会話。自覚症状はあるけど、たとえばアカデミックだったり、ビジネスライクだったりする会話に価値はある?1%のエラい人じゃないから、どんな会話も撹拌以上に世界を変えることはできない。
「そんな『ヤング・トラウマ』抱えちゃったら、人生歪まざるを得ないね」
「んでさ、わたしたちって、世代が世代だったりするじゃん」
「だねー」
価値は原則的に希少性に依拠して、大半の有意義的な会話より、最初っから空っぽのスッカラカンで叩けばスイカぐらいの会話は、その希少性故に、話してる当人たちが軽く引くぐらい、実はけったいな価値を秘めている。
「もうさ、わたしのアフリカ・バンバータを返せ!みたいな」
「ハハハ。なにそれ?意味わからなさ過ぎてスゴいわ。ピロコじゃなくて?」
「薬師丸は絶対だから」
「相対性理論の?ぶっちゃけ、ただアレなだけのえつこ」
だから、今しかできない会話にわたしは醒めない。躊躇わない。その空しさにしか価値は無いから。
「とかみたいな物語って、恥ずかしくないんッスかね?」
「
コトリの宮殿
」特集:本の超短編 未投稿作
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