ドミノの時代

 トキヨはプロの暗殺者だ。したがって、彼女の人生には死体が連なる。
「あっ、すみません」
 通勤ラッシュの中、トキヨは禿げたサラリーマンの膝をカックンする。
「最近の若いもんは」
 優先席でケータイを操るじーさんは、詫びないサラリーマンへのありがちをWebへ吐き出す。
「どっちもジジィじゃん」
 拡散されたありがちは、400km離れたヤンママの機嫌を損ねる。
「んぎゃー」
 母親の機嫌に刺激された赤ん坊は、街に三日三晩続く雨を招く。
「うわぁ!」
 雨雲の滞留はジェット気流を乱し、某国政府専用機を14000km離れた大地に墜落させる。
「本来ならルーブ・ゴー」
「長すぎ」
 思うがままに因果を並べられる彼女の二つ名は、あまりに適切で、まるで必殺な仕事人のよう。
「じゃあピタゴ」
「可愛すぎ」
 第三帝国総統は、トキヨのターゲットとも知らず、氷と政府専用機の間で永すぎた命を終える。

超短編 500文字の心臓
第102回競作「ドミノの時代」参加作を加筆修正

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