忘れられた言葉

「みんないなくなったらさ」
「いなくなったら?」
「『好き』って、無くなっちゃうよね」
「『like』とかは残るんじゃない?」
「そうじゃなくて、外国も含めて、地球全部の『みんな』」
「主語が大きい」
「だって」
「誰も覚えててくれない」
「誰も覚えてなくても、俺は君が好きだよ」
「ありがと。ねぇ。そしたらさ、『好き』は今と全然違うのかな?」
「違う?」
「今だって、君とわたしの『好き』が100%一致するわけじゃない」
そだね。俺の方が君のこと好きだもんね
「照れるなぁ」
「『好き』は『好き』だよ。たぶん。どこかの彼か彼女にとって」
「そうだといいな」
「きっとそうだよ」
「好きだよ」
「俺は愛してる」
ずるい

超短編 500文字の心臓
第169回競作「忘れられた言葉」投稿作

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