フリーダムフリーダム
息吸って、目見開いて、太ももから脹ら脛に力込めて、肩に全体重乗せて体当たる。
大きな音して、俺は地面に叩きつけられて、肩痛いし、向こうで人間どもが驚いた顔したかと思ったら「チンパンジーだから、ガラスあるってわかんないんだね」とか言って、歩いてく。
ウッセェ。バカにすんなや。こんちくしょう! お前が見たのは今の一回だけだろ? 俺何回ここで体当たりしてると思ってんだ? わかってんだよ。見えないけどここになんかあって、どんだけ俺が全力で体当たりしてもビクともしなくて、つまり俺はここに囲われてて、晒し者になってるってことぐらい。飯も糞も人間どもに見られて、キャーだのクセーだの言われてることぐらい。
オヤジもオカンも俺がわかってることちっともわかってなくて、そもそもここにいる誰一人俺のことわかってなくて、でも俺は、俺がここから出たがってるの知ってっから、肩とか無茶苦茶痛くて、腕も最近上がんなくなってきて、他にも痛いけど全部無視して、太ももから脹ら脛に力込めて、肩に全体重乗せて体当たる。
見えないなんかぐらい、ぜってぇ俺が壊して、こっから出てってやんだからな。バカにすんなや。こんちくしょう!
コトリの宮殿 in 超短編マッチ箱
第1回規定部門投稿作
(ケータイ)
トップ
>
空虹桜
超短編集 エディアカラ
> フリーダムフリーダム
(パソコン)
トップ
>
空虹桜
短編集 バージェス頁岩
> フリーダムフリーダム
(C) Copyright SORANIJI Sakura,2008
e-mail
bacteria@gennari.net