富士山
「いーんスかぁ? 燃やしちゃって」
「帝に意見してんじゃねぇーよ。いいから燃やせ」
男の嗜みで三十一文字綴ったものの、帝に涙は似合わねぇつーか、女に捨てられっぱじゃ帝の名が廃るつーか。いや、泣いたことは泣きましたけど。認めますよ。だって、あんないい女、それこそ月まで行かなきゃいねぇわけだし。かといって未練タラタラじゃ、下々に示しつかねぇし、そもそも生きる意味ねぇし。だったら、燃やしちまえ! と。
「帝ぉ〜、火ぃなかなか消えないッスねぇ」
「だから燃やしたんだっつーの」
なんのために駿河くんだりまで来て、クソ高ぇ山登ったと思ってんだ? 百年だって千年だって万年だって燃え続けなきゃ、意味ねぇだろうが。
「って、やっぱ未練タラタラか? 俺」
悔しいけど、お前のいる月は一段と綺麗だ。
超短編 500文字の心臓
第58回競作「富士山」参加作を加筆修正
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