少女、銀河を作る - 元少女、銀河を護る
もうとっくにオバサンだから、わたしは若さに嫉妬することすら諦めた。
ちゃんと応援する。違う。たぶんわたしは元若い子として戦わなきゃならないのだ。老いは悪ではない。けれど、この心があらゆる悋気や過去への撞着に囚われてしまう前に戦わなきゃならないのだ。
信じてもらえるかな?
未来はいつだって暗いけど、大丈夫。暗いなら照らせばいい。あなたたちは、あなたたちの進みたい道に灯を点し、進めばいい。わたしだって油の一滴ぐらいには燃えるよ。
選択肢の数だけ未来は存在する。選択しなかった未来も平行して今を紡いでる。どんなに諦めても、めげても、絶望に追いやられても、諦めず、めげず、絶望を追いやった未来も同時に存在するんだ。
平行するありとあらゆる可能性のために、過去の少女たるわたしは、残りの生を費やそう。悲しいことじゃない。格好つければ「命の営み」かな。決められたんじゃない。戦いたいとわたしの自由意志が決めたんだ。
だから、あまねく少女よ。あなたの銀河をブラックホールに投げ込まないで
。
超短編 500文字の心臓
第183回競作「少女、銀河を作る」参加作
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