気体状の学校
臨採から教採を経て、特別支援学級の担任に配属されたあの四月、わたしは彼らを運動エネルギーの塊と感じた。もしかしたら、彼らの運動エネルギーと生命はイコールなのかもしれないと。同時に、その感じ方は差別意識と表裏一体かもしれず、口に出すことはなかった。けれど、ならば、動かぬわたしたちは生きた屍か?
三年経った。初めての卒業生も送り出したが、未だ彼らの運動エネルギーに翻弄され、悪い意味で熱エネルギーを受け取るから、身体を制御するのに必死だ。が、熱量は生きている証。永久機関のように果てしなく運動エネルギーを拡散する彼らは、世界を生かす熱源であると信じたい。
嵐が過ぎた終わりかけの九月は、彼らと生きていることを強く意識する。
超短編 500文字の心臓
第147回競作「気体状の学校」参加作
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