パステルカラーの神様
「八百万の国だば『クセンコムシ』おってもおがしぐねべよ」
「知らないし、ツッコミどこ多すぎるし」
クセンコムシて。
JKの肩乗んな。
カメムシにしては綺麗だけど、臭いよ。カメムシ。
肩乗んな。
「うだでうだでもだばな。一部さ切り取ったら存外うだで言っててらいねがら、白黒ハッキリささね」
「黙れ。エセ津軽弁」
ググったらちゃんとヒットした。クセンコムシ。
とはいえ、アイツらは全員死ねばいい。
心底呪詛するわたしはもっと。
「『算数みたいに割り切れね』言うやずだば、『絶対安全って言い切れる?』言うはんで、だども数学だば、わがんねこと『x』にして、わがんねまま扱えるっきゃよ。箱さ入れてまえば、猫は生きてんだぴょん」
「でも、勝手にわたしの裏垢作って、ウリやってるとか言いふらすぴょん」
誰がこんな田舎でウるか。
ぴょん伝染った。
で、津軽って何処?
「わば見てみ。わの色は青や黄色で作れね。いが? 色だば色相、彩度、明度。三属性あんべ」
カメムシが賢しい。妙な説得力。
赦せって?
正しさより、わたしを守れよ。
「説教臭い」
「せば、クセンコムシだっきゃよ」
超短編 500文字の心臓
第178回競作「パステルカラーの神様」逆選王作
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