ハンギングチェア

「ヨハネの黙示録」じゃ、ラッパが吹かれた何気に陽気な滅び絵巻。けれどホントの終末は、ゆらゆらふわふわやってくる。
 今かかってるthee michelle gun elephantの「世界の終わり」じゃないけど、紅茶飲んでパンを焼くような穏やかな死。切迫感のひとつもないと、あの娘に告る純情も抱けない。
 あらかじめ「絶滅」を決められた、最初で最後の世代。
 祖父のミュージックライブラリのランダム再生が、↑THE HIGH-LOWS↓の「ロッキンチェアー」をかける。ハンモックで揺られる僕は、あの娘での童貞消失を夢見て眠る。つなげても途絶えるしかないDNA。それでも「したい」愚かさ。
 地獄のような毎日は来ないし、ヘトヘトにもならない。絶望にすら絶望した世界で、吊す紐が千切れるのを待っている。ゆらゆらふわふわ待ち焦がれている。

超短編 500文字の心臓
第168回競作「ハンギングチェア」投稿作

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