偏愛フラクタル
間宮家には、なかなかな因縁がある。
間宮さんのお父さんはAB型の次男坊。間宮さんのお母さんのお父さん、つまり、間宮さんのお爺さんもAB型の次男坊。さらに、間宮さんのお婆さんのお父さん、つまり、間宮さんの曾お爺さんもAB型の次男坊。
それだけではない。
間宮さんのお母さんのお姉さん、つまり、間宮さんの伯母の旦那さんもAB型の次男坊。間宮さんのお婆さんの妹さんの旦那さんもAB型の次男坊。
高校生の頃、あまりに気になった間宮さんが調べると、間宮家母方の旦那さんはいずれもAB型の次男坊なのだという。
だから、間宮さんは一人っ子のA型と結婚した。
ハズだった。
一人っ子だと思った間宮さんの旦那さんには流産となった兄がいた。
そして、旦那さんの入院――骨髄性白血病。
治療のため行った骨髄移植により、間宮さんの旦那さんの血液型はAB型となった。
「そんなのズルいよねぇ」
たしかに。
超短編 500文字の心臓
第49回競作「偏愛フラクタル」参加作
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