冬の夜は、空も吐く息も地面も全部キラキラしていて憎たらしい。踏みしめる足音も、きゅっきゅって、キラキラしてる。
 世界中がハッピィな聖夜に失恋するわたし。
 何度も考え直そうとはした想いが、もうすぐ星になる。だって、今日でなくちゃダメなんだもの。キラキラした1年前の夜を、空に返さなくちゃダメなんだもの。
 赤と緑と白といっぱいのイルミネーションでキラキラした街角。いつも先に来て待ってくれてるの、案外しんどかったんだよ。
 空から零れたキラキラを、わたしは胸いっぱい吸い込む。
 OK。どんなにくすんだわたしでも、最後の言葉ぐらいはキラキラさせてあげる。
「バイバイ」
 世界が、空気が、星が煌めいた。
 心がひとりぼっちでも、眠れますように――

超短編 500文字の心臓
第55回競作「☆」参加作を修正

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