Innervisions (You & I mix)
たどり着いたのは地の涯。こわごわと冷えきった線路にじっと、二人、座っていた。言葉もなく。ぶらつかせた足の彼方で銀河の雲がゆっくりと夕焼けに染まりゆく。
「神様に会いに行こう」
きみが言った。もちろん会ってなんかもらえなかった。聞きとどけてくれる人も神もなにもないから、ぼくは一番遠い星にたった一つの願いごとをした。
通り抜けてきた広大な森が、眼下で虹色のグラデーションに染まって、暮れかかったままいつまでもたそがれることのない光が、空の一番深い場所まで満ちていた。
腰を上げてそっと触れてみると、きみとぼくの体温で尻の形に凹んでいたのに、温もりが退いていくにつれて少しずつ線路に戻っているのがわかる。
億千万年を越えてかならず時の円環は閉じられ、ぼくの願いは射抜かれた心に未知の数式の像を結ぶ。
もう一度だけそこを手でなぞり、立ち上がって、固く手を取り合ったまま歩き出す。願いどおり、今夜それが戻ってくる頃には、きみとぼく、どちらがどちらを誘ったのかなど、跡形もなく消えているはずだ。
空が一番広い場所に来ていた。
「
第5回 てんとう虫の呪文
」朗読作
はやみかつとし作
「カオスの国×シリウス×Follow me.×道草×星に願いを」のマッシュアップ
トップ
>
空虹桜
短編集 バージェス頁岩
> 君を信じる
(C) Copyright はやみかつとし
Mixed by SORANIJI Sakura,2008
e-mail
bacteria@gennari.net