風えらび

 いつもアトゥイからのレラが、マタカパチリどもを招く。レラは自ら流れず、マタはシリエトクレタルにし、アトゥイコンルで埋め尽くす。マタの間、カパチリどもは俺たちの邪魔をする。アイヌの連中は、カパチリどもを「カムイ」と呼ぶが、奴らはカムイチカプと同列ではない。
 カパチリどもが姿を見せはじめたから、まもなくマタになる。奴らはマタを超えるためだけにオホタからやってくるけれど、シリエトクは俺たちポンチカプチセだ。そう思うも束の間、ヌマンアンチカラウパシだった。
 レラがチュッポクから吹いたので、俺はフプを飛び立つ。カパチリより高く、カパチリより速く、カパチリより遠く
 見えた。レタルの中のクンネチロンヌプだ!
 レラが俺を導く。カパチリどもじゃなく、俺をチロンヌプへ導く。シリエトクのカムイよ。ここはポンチカプのチセだ。

超短編 500文字の心臓
第166回競作「風えらび」投稿作

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