煙
キャンプだホイホイ。キャンプだホイ。
浮かれ気分を吐き出す僕らのワゴン車は、早すぎたのか、遅すぎたのか、野焼きされたばかりの山を登り、小綺麗なオートキャンプ場に入った。
見知らぬ土地。空には春の飛行機雲。
テントを立てたら、火を焚け燃やせ、天まで焦がせと薪を組んで、カレーの準備。手持ちぶさた組が、もらった火でタバコ吸ったり葉っぱ吸ったりしてる内に夜となる。
BBQからキャンプファイア。しかして、湯気たつカレーこそがキャンプの真髄だとみんな弁えてる。ハフハフハフハフ、カレーだよ。
季節外れの花火でみんな燻製されたら「バルサンじゃなくて良かったね」だなんて、酔ってラリってなきゃ笑えないジョーク。
見上げるは南の空よ。夜風に震える歌声よ! 笑い声よ! 伝われ! 遥か遠くの星へ!
やり過ぎたのか、やらなさ過ぎたのか、いつの間に火を囲んで眠っていた僕らは、真っ白な霧かなにかに包まれベチャベチャ。
きっと霞を食らう仙人か、牛に穴を開ける宇宙人が出てくるとか、浦島太郎は玉手箱を手に入れるためだけに生まれてきたわけじゃないとか、眠気眼でダベっていたら、遠くに烽火をあげるSLの汽笛が聞こえた。
featuring
KEMURI
超短編 500文字の心臓
第111回競作「煙」参加作
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