ことり
闇の中、耳元で空気が切り裂かれ、警部は小さく呻くとそちらを向いた。
「あっ、現れたな!」
「こ!コミカルで」
「と!トラブルで」
「り!リーズナブルな窃盗団」
『俺たちLB is Little Birdただいま参上!』
ちなみに、コースケ・トシヒロ・リンコの頭文字を並べると「ことり」になると気づいたスチャダラパーファンのリンコが、他の二人の反対を押し切ってこの名に決めた。
「貴様らに“ブルーバード”は渡さんぞ!」
ことり、と音がして闇に慣れた警部の視界を白い煙が埋めていく。
「んなこと言ったってなぁ?」
「じゃーん!白鳥警部。これ、な〜んだ?」
微かに射す月明かりが、刹那、青い光を警部に見せた。
「いくらキャリア組でも、警部一人でこんな高価な代物の警備できるわけないじゃん」
「そこに展示されてんのがレプリカだってことぐらい、とっくの昔から知ってんだって」
「ってことで、本物はもう頂いてまーす。じゃーねぇー」
白い煙の向こうで羽を広げた小鳥は、青い鳥とともに飛び立った。
超短編 500文字の心臓
第17回競作「ことり」逆選作
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