魔法(3)

 目の眩むような閃光が男に突き刺さる!
 刹那、男は新たな呪を紡ぎ、その閃光を天へと跳ね返した。
 雲が裂け、月は顔を出すが閃光にかき消される。
「クソッ」
「させるか」
 短く交わされた言葉に意味はなく、二人は距離を取って構える。
 じりじりとした空気が、魔力障壁とともにスタンドまで届く。
 勝負は次の一打で決まる。
 誰もが息を呑む―その時!

 ドグゥウォワーン

 燃えつくさんばかりの火球が、凍らせんばかりの氷弾と中空で衝突した。
 余波が会場を包み、聖火を消してしまったことに、まだ誰も気づかない。

超短編 500文字の心臓
第41回競作「魔法」参加作

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