間に合わない
「なにやってんの?」
やっぱ15cm定規じゃユミちゃんの席まで届かない。隣なのに。全然。
「測ってんの」
ユミちゃんはあんまりオレのことを好いてない。だから測ってんだけど、言ったら絶対もっと嫌われるし。
「なにを?」
「距離を」
待て。早まるな。オレ。
「どこの?」
ハザマとユミちゃんの距離が消しゴム3つ分として、
「オレとユミちゃんの……」
机の距離がそれぐらい。だなんて言えません。ホントはもっと全然遠いとか、毎日ハザマとヤってるとか言わないでください。
「お願いだから、そういうこと止めてくれない?」
ほら! コイツ、イカれてるわ。的視線。もう慣れっこだけど、ユミちゃんはハザマの本性知らなくて、オレのホントを知らないんだ。
「……うん」
家の竹尺なら届くから。明日持ってくるから。大丈夫だから。今日は諦めるけど、ハザマよりオレのがいいって。ユミちゃん!
超短編 500文字の心臓
第67回競作「間に合わない」参加作
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