めんこいおべべ

 109は安心する。リアルが氾濫してて。情報情報した情報は効率的過ぎて、テキーラのショットをイッキするみたい。
 いや、呑んでないですよ。未成年ですから。イマドキ、お酒とか趣味悪いし。たとえ話。たとえ話。
 エスカレータで1階から順番に上がっていく。ワンフロアにひとつはシャツなり靴なりスカートなり、欲しいアイテムがあって、わたしじゃアパレルのバイト務まらんなぁ。なんて店員さん見て考える。
 男が、わたしを馬鹿としてナンパしてくれるのは不快だけど、学校が点数でしか評価できないことや、彼氏が実態としてセフレにしか思ってないことと同じで、わたしは店員さんの苦労を知らないし、細っこいおねぇーさんたち見てる分には憧れる。
 ニンゲンやシャカイやケイザイが、上っ面より深いとこ見れるハズがなく、けど、まるでスッカラカンなわたしを、109はちゃんと風景に納める。
 あっ!あのワンピかわいい。

20周年!もうすぐオトナの超短編」山下昇平選 投稿作

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