真っ白な部屋で低く枯れた声は響き、少しずつ大きくなる。
もがけばもがくほど、後ろ手に縛るロープは手首の皮を裂く。足首を縛るロープは骨を軋ませる。
一対一対応で左右の指が、手足あわせて計十セット結ばれて、ただでさえほどくことができない。
力がかかるから、結び目が一番痛い。
リズムと音程が完璧に破綻した唄は、もはや反響するいとまなく耳に届く。
急がなきゃ。急がなきゃ。急がなきゃ。
「おほしさまにしてあげる。きらきらかがやくぼくのおほしさまに」
超短編 500文字の心臓
第32回競作「結び目」参加作