流れ星ビバップ

ヤバいよヤバいよ。落ちるよ落ちるよ
 流れ星なのだから当たり前だろ? と声をかけると、慌てん坊の流れ星は慌てん坊だから、目的地を覚える前に宇宙塵を飛び出してしまったと言い訳するので、思い出せよ! と、思わずノリツッコミしてしまうが、しかし、流れ星は慌てん坊だから
無理だよ無理だよ。ヤバいよヤバいよ
 と、聞く耳を持たない。だから慌てん坊なんだよ! と思う間に地上はだいぶ近づいて、周りの人たちも慌てん坊の流れ星に気付いてしまうから、やんややんやと慌てはじめるので、慌てん坊の流れ星だけでも大変なのに、周りの人たちまで慌てん坊ではややこしいことこの上ない。
 なにか良い手は無いか? と考えた末、近くの門前町の参道になら胴体着陸・・・出来る?
いいのいいの? 落ちるよ落ちるよ
 の声は、ドップラー効果で低くなり、慌てん坊の流れ星は「山門」に落ちた。

 そうして、この寺が「大惨寺」と呼ばれるようになったのは真っ赤な嘘だが、三代前の住職はこの話を面白がって宿坊「慌天坊」をはじめたのは本当のお話。

お笑い大惨寺・超短編1月「大惨寺観光ガイド」佳作を改訂

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