夜夜中
夜午前8時に目が覚めた。自分でもちょっとビックリ。
待ち合わせの時間は夜午前0時。準備はそれまでに済ませればいいから、こんなに早く起きる必要はないのだけど、緊張してるのか。それとも、ワクワクしてるのか。
ゆっくり時間をかけて、カバンに荷物を詰め終えたら夜正午。
夜昼のニュースで、僕たちの仲間がまた一人逮捕されたことを知る。
永遠に続く夜を明かしたいだけなのに、社会はどうして僕たちを拒絶するんだろう?
夜午前0時きっかりに始まった僕たちの計画は、午前5時に朝日を取り戻した。
暖かくて、穏やかで、涙が出た。
いつの間にか眠ってしまい、夢から醒めたら夜午後3時。
太古の世界には、空でデネブが輝いてるのかわからないほど、光が溢れてたらしい。夢の中より、もっと暖かくて、きっと穏やかだったろう。
戸締まりを確認する。もう、この家には戻って来れないだろうけど、まだ夜午後9時だし。念のため。
ここから待ち合わせ場所まで、どんなにゆっくり歩いても1時間あれば着く。
真っ暗な夜夜道を僕はゆく。
これで最後。もう訪れはしない。
超短編 500文字の心臓
第62回競作「夜夜中」参加作
(ケータイ)
トップ
>
空虹桜
超短編集 エディアカラ
> 夜夜中
(パソコン)
トップ
>
空虹桜
短編集 バージェス頁岩
> 夜夜中
(C) Copyright SORANIJI Sakura,2006
e-mail
bacteria@gennari.net